沖縄観光の復活 全国へハブ的目線で 日本旅行社長 小谷野悦光氏<焦点インタビュー>


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 1905年の創業以来、国内で最も歴史のある旅行社として知られる日本旅行(東京)。沖縄を訪れた小谷野悦光社長に、沖縄観光のコロナ禍からの復活や、インバウンド(訪日客)の誘致方法などを聞いた。

沖縄に学ぶところが多くあると語る日本旅行の小谷野悦光社長=9日、那覇市泉崎の琉球新報社

 ―沖縄観光の特色は。

 「沖縄は観光産業が占める割合がとても高い。全国旅行支援の利用のみでいえば他の地方とさほど変わりはないが、修学旅行や企業のインセンティブ旅行、MICEなどの需要があるのが大きな違いだ」

 ―沖縄観光のコロナ禍からの復活については。

 「ようやくコロナも落ち着いてきて、旅行客数もタイミングだけを切り抜けば(コロナ感染拡大前の)2019年を超えられる時もある。しかし、全体的に見ればまだまだだと感じている」

 「沖縄は観光産業が大きな割合を占めていただけに、コロナ禍でのダメージは他のエリアよりも深い。経営も相当傷んでいる。最近はウクライナ情勢や物価高などに注目が集まり、沖縄観光のコロナ禍での痛手が薄れてしまっている。沖縄の大きな問題を、全国が発信する責務があると感じている。私も最近は毎週沖縄に来ていて、沖縄には縁を感じているとともに、沖縄に学ぶことがたくさんあると感じている」

 ―インバウンド(訪日客)の誘客方法は。

 「世界の中で日本を売ることで、結果的に沖縄を売るという面的な戦略でいきたい。沖縄は東南アジアの中で場所がとても良いので、沖縄を経由して本州にも来てもらうというハブ的な目線もある。日本にゴルフをしに来るとしても、夏は涼しい北海道で、冬は暖かい沖縄でなど、季節やテーマに応じて薦める場所を変えることができる。国内でバランス良く誘致することで、価値が生まれるだろう」

 ―観光産業の人材不足対策は。

 「コロナ禍を経て、観光業に展望があるのか、働く意味があるのかと懐疑的になった人が増えてしまった。国の支援も仰ぎながら、国内の若者や外国人にも、観光産業の魅力を積極的にアピールしていく必要があるだろう」
 (聞き手・與那覇智早)