「国は疫学調査を」有害PFASの血中濃度、6割が目安超…市民団体が数値を憂慮 沖縄


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 人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)の血中濃度検査結果を分析したところ、2地域の受検者の60%超が米国の目安値を超えていたことが16日、分かった。検査を行った市民団体「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会」共同代表で沖縄大名誉教授の桜井国俊さんは、受検者数が限られ、性別・年齢に偏りがあるとしつつも「3種合算で米目安値をすでに超える人が40.1%もいる。米目安値の4種合算だったなら、さらに増えるだろう。極めて憂慮すべき状況だ」と指摘した。

 また、血中1ミリリットル当たりPFOS20ナノグラムまたはPFOA10ナノグラム(出産可能な女性は半分)とするドイツの目安値を基に分析した場合、金武町の受検者22.2%(54人中12人)、北谷町8.5%(59人中5人)、宜野湾市喜友名8.0%(50人中4人)、沖縄市5.4%(56人中3人)、大宜味村3.4%(58人中2人)、嘉手納町2.0%(51人中1人)が超過していたことも明らかにした。宜野湾市長田(59人)はゼロだった。

 この日、那覇市泉崎の県議会で「平和・立憲・人権をつなぐ全国自治体議員会議おきなわ」が開いた研修で報告があった。講師を務めた桜井さんが示した分析結果に、参加した県議・市町村議ら約40人からどよめきが上がった。

 桜井さんは分析結果を解説したほか、PFAS汚染源を特定するための基地立ち入り調査を拒む米軍の姿勢を糾弾した。

 その上で(1)国が責任をもって疫学調査、環境調査を行う(2)PFASを規制する法を制定する(3)米軍基地立ち入り調査を実現する(4)米軍に情報を公開させて浄化させる―などが必要だと指摘し、住民と県、市町村をつなぐ議員の取り組みを求めた。
 (安里周悟)