「クリスマス休戦」描いた絵本をバレエ化 踊りと朗読で「平和」訴え 環スタジオ 沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「世界で一番の贈りもの」の一場面=2022年12月11日、沖縄市民小劇場あしびなー

 環バレエアートスタジオ(比嘉環代表)のダンスの可能性を模索したコラボレーション企画「ダンスインスピレーションVol.14」がこのほど、沖縄市民小劇場あしびなーで開かれ、朗読とバレエによる「世界で一番の贈りもの」を上演した。2012年の初演から今回で3度目の上演。今回は県内外のダンサーを招き、ダンスと朗読を通して戦争の悲惨さや命の大切さを考えるきっかけを観客に届けた。

 同作は、第1次世界大戦の“クリスマス休戦”を描いたマイケル・モーパーゴの絵本「世界で一番の贈りもの」を、平安玲子の朗読と比嘉の振り付け・演出で創作バレエ化した。

 物語は第1次世界大戦初期の1914年のクリスマスに、戦場の最前線で起きた事実に基づいた話。英独の兵士たちが一時的に戦闘をやめ、共にクリスマスを祝う。出演者の躍動感あふれるダンスと演技や朗読が融合し、終演後は観客からの盛大な拍手に包まれた。

 事前の取材で環代表は「沖縄戦があった沖縄で平和を訴える良い作品だ。100年近くたっているのにウクライナとロシアの戦争もあり、何も変わっていない。自分たちが発信できるのはダンスなので、もう一度やってみようと声をかけさせてもらい、趣旨に賛同してもらえて(再演が)実現した」と話した。
 (田中芳)