沖縄の軽便鉄道も入ってる!大正時代に発行した全国鉄道地図も 江戸から昭和まで50点「古地図展」


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朝鮮で制作された「琉球国図」を手に参観を呼びかける伊禮信吉館長=4日、沖縄市の諸見民芸館

 【沖縄】沖縄市の歴史民俗資料展示館「諸見民芸館」(伊禮信吉館長)で「琉球・沖縄の古地図展」が開かれている。6月3日まで。今回の企画展では江戸時代から昭和にかけての古地図50点余、測量機器約30点、関連資料を含めて100点余が展示されている。

 展示中、最古のものは1785年の「琉球国全図」(林子平作)。冊封史・徐葆光が著した「中山伝言録」に依拠したとされ、首里、南山、中山、北山などの地名記載がある。朝鮮で制作(年代不明)したとみられる布地に描かれた「琉球国図」は現在の地図とは全く異なった地形で、離島の地名も判別が難しい当て字の珍品。

 大正当時の皇太子(昭和天皇)の欧州遊学の際のカラー大判の航路海図も目を引く。県出身の漢那憲和海軍大佐(最終階級少将)が艦長を務めたことで知られ、沖縄にも寄港している。同時期発行の沖縄の軽便鉄道も入った全国鉄道地図の鮮やかなカラー版も珍しい。

 小国の琉球がレキオスと呼ばれたころのフランス製の精緻な世界地図のほか、江戸から明治、大正にかけての地図は測量技術の変遷もうかがい知ることができる。器材では国立科学博物館に所蔵されているものと同じ中方儀・丸分度器や大小の羅針盤も資料価値が評価されている。

 伊禮館長は「古地図と現在の地図にこれだけの違いがあることに改めてびっくりしている。年代や作者不明の地図もあるので専門家に鑑定をお願いしていきたい」と企画展の参観を呼び掛けている。

 開館時間は午前10時から午後5時(月曜休館)。参観有料。問い合わせは、電話098(932)0028。

(岸本健通信員)

※注:伊禮信吉館長の「禮」はネヘン