教職から離れた教員に「帰ってきて」 集会で訴える教員らの切実な思い「学校だけじゃ解決できない」


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少人数学級の維持を訴える参加者ら=20日午後5時ごろ、那覇市の県庁前駅周辺(喜瀨守昭撮影)

 20日夕、沖縄県庁前駅周辺に、教員不足問題を訴える教職員らがプラカードを持って集まった。行政には「離職者や病休者が学校に戻ろうと思える施策を」、教職を離れた教員に向けては「帰ってきてほしい」、県民には「一緒にこの問題を考えて」と、それぞれにメッセージを発信した。

 中学教員で呼びかけ人の一人、波照間千夏さん(38)は集会冒頭、「私たちは業務改善を訴えることを諦めない。子どもに先生のまなざしが届くようにしたい」と参加者に語りかけた。

 少人数学級の見直しについて「負担がさらに増し、子どもを見守れない。子どもにとっても、教員にとっても学校が苦しい場所になる」と懸念を示した。「新年度直前まで、一つでも多くの業務改善策を打ち出してほしい。学校は変わるという希望こそが、離れた先生たちの心に届き、教員確保につながるはずだ」

 校長ら管理職による評価が給与などに直結するため、教員らは声を上げづらい側面も。それでも賛同した複数人が現場に立った。小学校教員の30代男性は黒いマスクで顔を隠し、集まった報道陣から離れて行動に加わった。「仕事自体は楽しい。(業務改善で)やりがいも感じられるようにしてほしい」と求めた。

 同じく匿名で参加した高校教員の30代女性は「教員不足を学校の問題ではなく、社会全体の問題として考えてほしい。学校だけじゃ解決できない」と抑え気味に話した。通りかかった仕事帰りの女性は「先生が足りないのはニュースで見て知っていた。先生がこうやって集まっているのを見て、深刻さを感じた」と話した。

(嘉数陽)