多頭飼育崩壊の背景に「社会的孤立」 飼い主への福祉的支援訴え 沖縄県内の愛護団体アンケート


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
多頭飼育崩壊の家屋から保護された猫=2022年11月、南大東村

 ペットの飼育過多で適正な飼育ができなくなる多頭飼育崩壊が問題となる中、琉球新報は2月22日の「猫の日」に合わせて、県内で動物愛護に取り組む11団体にアンケートを実施した。崩壊を防ぐ手だてとして飼い主への福祉的な支援を訴える回答が最も多かった。経済的困窮や社会的孤立など飼い主の生活と複雑に絡む問題との指摘もあった。動物愛護を担当する行政部局や団体だけではなく、社会福祉部局との連携など包括的な対策が今後は求められる。

 アンケートは、猫の無料不妊去勢手術チケット事業を行う、どうぶつ基金(兵庫)と協働する自治会や動物愛護など11団体に実施し、7団体から回答を得た。

 多頭飼育崩壊が生じる背景として「経済的困窮や社会的孤立」「去勢や不妊に対する不理解」などが挙がった。行政の要請を受け多頭飼育に陥った世帯の猫を保護し、新しい飼い主を探した団体もある。団体からは「ペットに癒やしを求め、気がつけば手に負えない状況になっているという状況だ」との回答もあった。

 防ぐ手だてを複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「健康的、経済的な問題を抱える飼い主に対する、関係機関の福祉的な支援」(4件)だった。次いで「去勢不妊手術に対する、行政の金銭的な支援拡充」(3件)、「地域住民との協力関係・情報共有の構築」(3件)との意見が続いた。

 多頭飼育崩壊の現場に複数回立ちあった「おきにゃあわんネットワーク」の、宮城直子代表は「飼育者の生活環境や心理状態への理解も必要だ。関係機関の連携があって解決に導くことができる」と話した。
(新垣若菜まとめ)