自衛隊と輸送14社が協定 災害時の協力 自衛隊「有事の輸送は対象外」 九州・沖縄 陸自西部方面隊


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 島しょ地域での災害発生時、陸上自衛隊災害派遣部隊が現場支援に入る際に円滑な展開が行えるように、陸自西部方面隊は21日、九州・沖縄の輸送業者14社と輸送協力に関する協定を締結した。業者は船舶の余った席や臨時便、チャーター便を優先的に提供するなどして、災害派遣部隊の移動に協力する。

陸上自衛隊西部方面隊と輸送協力に関する協定を結んだ14社の代表ら=21日、那覇市の陸上自衛隊那覇駐屯地

 那覇市に拠点を置く陸自第15旅団はすでに県内の業者と同様の協定を結んでいる。今回の協定は対象エリアを広げて九州と南西諸島の間で災害時の部隊輸送を円滑にする狙いがある。

 陸自は今回の協定は災害発生時の輸送が対象で、有事の部隊輸送は対象外だとした。14社中12社は沖縄に拠点や航路がある。港湾での荷役業者や資機材のレンタル業者も加わった。

 同日、那覇市の陸自那覇駐屯地で協定の締結式が行われた。西部方面総監の竹本竜司陸将はあいさつで、九州・沖縄は広範囲に島しょが多いことから、災害時に部隊を迅速に展開する能力の重要性を強調。「協定に基づき連携を密にしながら、訓練などを通じて実効性を高め、沖縄、九州のみなさんの安全を守りたい」と語った。

 輸送業者を代表し、鹿児島県に拠点を置くマルエーフェリーの有村和晃社長は「南西諸島でいつ大規模災害が起きるか分からない。いろんなシミュレートをしながら輸送についてできるだけの協力をしたい」と話した。
 (知念征尚)