来年夏から使用の人工ビーチ、実は絶滅危惧種・コアジサシの沖縄最大の繁殖地 沖縄市はどう対応する?


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ひなの世話をするコアジサシの親鳥=2019年7月、沖縄市の泡瀬干潟

 【沖縄】沖縄市泡瀬沖の埋め立て地「潮乃森」の人工ビーチに飛来・営巣する、コアジサシなどの絶滅危惧種の鳥類を巡って、沖縄市は営巣防止のための調査・検証を始める。繁殖のため4~8月にかけて沖縄に飛来するが、ビーチ利用期間と重なることから、市は円滑なビーチ利用のために営巣防止策を取りたい考えだ。

 潮乃森は、2002年から埋め立て工事が続けられており、24年度夏には全長900メートルの人工ビーチが一部使用開始される予定。沖縄野鳥の会の山城正邦会長によると、泡瀬干潟海域はコアジサシの県内最大級の繁殖地で、少なくとも1970年代後半から飛来が確認されているという。

 市は2月議会の補正予算案で「人工ビーチ運営調査業務委託料」を計上しており、可決されれば3月上旬にも調査を始める。営巣防止策は環境省の「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針」を参考にする。

 鳥獣保護管理法上、既に繁殖コロニーが形成されていた場合、野生鳥獣や卵などを許可なく捕獲したり、移動したりすることができない。繁殖が終わるまで見守らなければならない。

 市はビーチ西側の「生物・学習エリア」にコアジサシを誘導したい考え。市担当者は「どのような営巣防止策が適しているか、環境監視委員会の意見も考慮しながら進めたい」と話した。

 一方、山城会長は市が誘導を考えている区域はコアジサシにとって面積が十分でないことや、ビーチに隣接しているためトラブルが起きる可能性があると指摘する。その上で「絶滅につながらないよう、しっかりとした保全策を立て、適切な代替地を設けてほしい」と要望した。(石井恵理菜)