「嚥下」を支援する会社が沖縄に 「コメール」設立、人材育成へ 看護師や介護士らにセミナー


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研修で看護師や介護士に技術を伝える大城清貴さん(右から2人目)(提供)

 【豊見城】2012年に沖縄県内で初めて摂食嚥下(えんげ)障害看護認定を受けた、看護師の大城清貴さん(44)がこのほど、「食べる」ことを支援する会社「Comer(コメール)」を豊見城市座安に設立した。看護師や介護士、栄養士などを対象にコンサルティングやセミナーを開催し、人材育成に取り組み医療・介護の質向上を図る。同様の取り組みを展開する会社は県内唯一で、全国でも数少ない。

 「コメール」はスペイン語で「食べる」の意味で、大城さんは心を「込めて」仕事をするとの思いも合わせ、会社名にした。

 昨年10月、22年間の病院勤務に区切りを付けた。「食べる」ことに関して「もっと地域にアプローチしていきたい」と決心し、翌月、コメールを立ち上げた。

 「食は生きる楽しみであり、人生を豊かにする上で大切なものだ」。大城さんはこう強調する。だが、高齢者を中心に、病気の後遺症で嚥下障害となるなど、食べ物をうまく飲み込めない人もいる。大城さんは県内の摂食嚥下支援の第一人者として、ゼリーなどをゆっくり飲み込めるように指導するなど、延べ千人以上の患者をケアしてきた。

 第一線の現場経験から「『治療』に比べ、『食べる』という『生活』に医療界はあまり着目してこなかった」と大城さんは指摘する。その課題改善に向けて、今後は「食べる」ことを支援するための裾野を広げるべく、知識や技術を伝える勉強会などを開く。

 大城さんは県内で「摂食嚥下認定看護師を増やしたい。それは患者の人生を豊かにすることにもつながる」と意気込んでいる。問い合わせはメールcomer.2022.ko@gmail.com

(照屋大哲)