マーラン船 与那原着 住民、戦前交易思いはせ


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マーラン船を出迎えようと、大勢の町民が詰め掛けた=3日、与那原町東浜の与那原マリーナ

 【与那原】国頭村安田を1日に出港し、うるま市の平安座島、津堅島を経由して航行したマーラン船(山原船)が3日、与那原町東浜の与那原マリーナに到着した。戦前、国頭から与那原までの物資輸送を担った交易船の到着を多くの町民が出迎え、交易で栄えた往時に思いをはせた。

 マーラン船の航行はうるま市教育委員会が主催し、同市と国頭、与那原の3市町村が連携して企画。市指定民俗文化財(同船建造技術保持者)の越来治喜さんらが2014年に戦後初めて復元したマーラン船「希進丸」が、戦前と同じ約115キロの航路をたどった。
 マーラン船は、強風のためマリーナに接岸できなかったが、予定時刻より早く到着したため、港内を周遊し、町民の目を楽しませた。
 うるま市のモズクやビーグのむしろ、国頭村のまきや泡盛などの特産品も船で運ばれ、駆け付けた島袋俊夫うるま市長と国頭村安田区評議員の中根忍さんが、古堅國雄与那原町長に手渡した。戦前、船が運び込んだ物資を県営鉄道(軽便鉄道)で与那原から那覇などへ輸送していたことにちなみ、まきなどは軽便鉄道与那原駅舎展示資料館へ運ばれた。
 マーラン船にはB&Gうるま市勝連海洋クラブが乗船した。同クラブの親田辰美会長(58)は「当初は風が心配だったが、先人がどのような気持ちで航海したのかを思いながら航行できた。昔は1、2人で操船していたというから驚きだ」と語った。
 古堅町長は「国頭、うるま、与那原をマーラン船が結び、沖縄の経済を発展させてきた歴史がある。(今回の航行も)歴史の新たな第一歩だ」と感慨深げ。島袋市長は「戦前の沖縄の栄華が再現できた。昔の航路をたどることで東海岸の絆が深まった」と喜んだ。