土壌分析の結果公表せず 防衛省、消極姿勢際立つ 空自那覇基地PFAS流出から2年


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 2021年2月26日に航空自衛隊那覇基地から有機フッ素化合物(PFAS)を含む泡消火剤が流出し、基地外に飛散した事故から2年が経過した。防衛省が基地周辺の土壌を調査・分析しながら結果を公表していないことが、本紙の情報公開請求によって26日までに明らかになった。周辺住民の健康への影響が不安視されている問題にもかかわらず、情報開示に消極的な姿勢が際立つ。

 空自は事故当初、泡消火剤に「(PFASのうち)PFOSは含まれない」と発表していた。だが、本紙が現場で採取した泡を京都大の原田浩二准教授が分析したところ、PFOS1リットル当たり244ナノグラムなどが検出された。報道を受けて自衛隊も調査し、PFOS含有を認めた。さらに消火薬剤を薄めるための真水用水槽からもPFASが検出され、防衛省は全国調査に乗り出した。

 全国調査を巡っても、防衛省は結果が出て報道された後も認めず、約4カ月後に公表した。62施設・地区のうち約8割に当たる48施設・地区で、真水用の水槽からPFOSとPFOAが国の暫定指針値(両物質合計が1リットル当たり50ナノグラム)を超えて検出されていた。真水用の水槽で本来検出されるはずのないPFASが検出された原因について、防衛省は「特定できない」と結論付けた。

 新たに判明したのは、那覇基地での飛散事故を受け、基地周辺で採取した土壌について含有PFASを調査していたことだ。防衛省・自衛隊は調査の事実を明らかにしていなかった。空自がホームページで公表している情報は水質の調査結果で、土壌はシミュレーション結果にとどまる。本紙に開示した資料でも土壌を分析したことは読み取れるが、結果の数値は黒塗りにされた。防衛省は「私有地のため」と説明している。

 一方、調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(河村雅美代表)が、防衛省の全国調査について開示請求したところ、一部の資料を除いて開示の判断が24年7月末まで延長された。

 情報公開法は原則として30日以内に開示か不開示かを決定しなければならないとするが、文書が多い場合などは特例として「相当の期間」延長できる。防衛省は特例措置を多用して開示までの期間を長期化する傾向が強いとされる。

 河村氏は「環境汚染は健康や命に関わる問題で、場合によっては汚染への接触を避けるなどの対応も必要となり、県民も深刻に捉えている。他の案件以上に長期の延長はそぐわない」と指摘した。その上で「全国で真水のはずの水槽にPFASが入っており、原因不明という深刻な事態だ。国民には早く知る権利がある」と批判した。 

(明真南斗)