「争うよりも愛しなさい」「戦争への道、許さん」世代超え1600人が参加、願う平和 2・26緊急集会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
戦争に反対し、平和を訴える「島々を戦場にするな! 沖縄を平和発信の場に! 2・26緊急集会」で「ガンバロー」と気勢を上げる集会参加者=26日午後、那覇市の県民広場(又吉康秀撮影)

 「争うよりも愛しなさい」「戦争への道 許さん」。那覇市泉崎の県民広場で26日に開かれた「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2・26緊急集会」で、参加者それぞれがプラカードなどで意思表示した。日曜の午後にもかかわらず子連れの人の姿も見られた。戦争体験者から若い世代まで、参加した1600人(主催者発表)に共通するのは、平和を願う思いだった。

 時折強い日差しが照り付ける中で、県民広場を埋め尽くした人々は強い意思を示した。国は沖縄周辺の島々にミサイル配備計画などを進めており、登壇者が「中国と仲良く生存していきたい」と訴えると、大きな拍手がわき起こった。基地機能強化の動きに危機感を示すため、黄色いリボンなどを身に着ける参加者も多かった。

 集会のリレートークは、与那国町久部良でカフェを営む猪俣哲さん(45)から始まった。日米演習などが実施される中、小さな島では話題にしにくい状況があるという。それでも猪俣さんは「平和を守り、つくっていこう」と声を上げた。

 母親に誘われ参加した女性(19)=与那原町=は「戦争を身近に感じており怖い。平和への思いを強くした」と話した。会社員の伊波寛爾(ひろじ)さん(60)=那覇市=は2人の子を持つ。「次の世代の命が危機にさらされ、いてもたってもいられない」と参加理由を語った。

 集会の終盤では、沖縄戦を経験した琉球大名誉教授の垣花豊順さん(89)の「戦争を許さない」とのかけ声と共に、参加者が拳を突き上げた。その後のデモ行進は参加者で長い列ができた。垣花さんら戦争体験者もつえを突いたり、車いすに乗ったりして加わった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で近年、大規模な集会の開催はなかった。今後は県民大会の開催も見越しており、参加者の多くは「きょうで第一歩。ここからがスタート」と身を引き締めていた。
 (金良孝矢)


「世界にもっと目を向けて」 教職員OB仲宗根藤子さん(86) 若者へ訴え

 

リレートークで平和を訴える仲宗根藤子さん

 26日に行われた緊急集会のリレートークで、県教職員OBの仲宗根藤子さん(86)がマイクを握った。「離島や県外から幅広い世代の人たちが集まって、このような集会が開けることに喜びを感じる」と力強く語った。ソーシャルゲームやSNSに没頭する人が若い世代に多いことにも触れ「海外のニュースや地元の新聞記事をよく読んで、世界で起きていることについて、もっと深く考えてほしい。家庭や社会で話し合う場をつくるべきだ」と危機感を示した。

 仲宗根さんは自らパソコンを使って平和を訴えるチラシを作成する。自宅のプリンターで印刷して配布するなど、現役を退いた現在も、若者と積極的にコミュニケーションを取る方法を模索している。「戦争を起こさないため自分にできることをやる」と決意を示した。
 (普天間伊織)


「無関心なくしたい」 滋賀から参加・ブリガム純枝さん

 東京都出身で滋賀県在住のブリガム純枝さん(45)はアメリカ人の夫、小学生の息子と家族3人で参加した。「NO WAR」と書いたプラカードを掲げて、デモ行進に加わった。

 「本土では辺野古への基地移設問題や離島での軍事演習について、ニュースをほとんど目にすることがなく、世間の関心があまりに低い」と言い、沖縄と他地域との温度差を感じている。

 集会の前日には辺野古まで足を延ばして反対運動の様子を見た。「沖縄だけの問題ではない。無関心でいることも罪」とし「沖縄で感じたことを持ち帰り、周りの人たちに伝えたい」と力強く語った。
 (普天間伊織)


「連帯の輪 広げたい」 宮古島から参加・下地茜さん

宮古島から駆けつけた下地茜さん(右から3人目)と仲間たち=26日、那覇市の奥武山公園

 緊急集会には石垣、宮古、与那国など離島からも多くの人が駆けつけた。宮古島から7人の仲間と参加した下地茜さん(43)は、弾薬庫の近所に住んでいることから、落ち着かない日々を過ごしている。「美しい島と平穏な生活が崩れてしまうのではないかと心配している」と表情を曇らせた。

 開始直後は緊張の面持ちだったが、デモ行進終了後には安堵(あんど)の表情を見せた。「今回1600人の大規模な集会に参加して、こんなに仲間がいるんだと心強く感じた」と話す。「島だけの問題でも県だけの問題でもない。全ての人に関係がある。もっと輪を大きく広げていきたい」と力を込めた。
 (普天間伊織)