桜並木で地域つなぐ 「花咲会」20年かけ植樹 「通行人に喜んでもらえたら」 宜野湾・宇地泊川沿い


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
宇地泊川沿いに桜の植樹を続ける佐久本暁さん=16日、宜野湾市大謝名

 【宜野湾】宜野湾市の大謝名橋付近の宇地泊川沿いで11日、4つの自治会が協力した、初のさくら祭りが開かれた。参加者の笑顔の先にある桜は「おきなわ花を咲かせる会」(花咲会)のメンバーらが約20年かけて育てあげたものだ。顧問の佐久本暁さん(84)は「通りがかる人に喜んでもらえたら、それだけでうれしい」。地域を鮮やかなピンク色に染める桜を前に、穏やかな表情でほほ笑む。

 約20年前、川沿いはギンネムが生い茂り、歩行の妨げになっている状態だった。県内でたまに見かける桜並木に憧れがあった佐久本さんは、県中部土木事務所の許可を得て、知人ら約10人と桜の植樹を始めた。「なぜ桜かと問われれば、それはもう『きれいだから』以外に答えはないんだよ」と話す。

 苗木を買うための予算がないため、種から育て始めた。川沿いに植えられるような花を付ける苗木になるまでに3~6年を要したという。植え付けた桜がきれいに育つまでには日々の管理も重要となってくる。花咲会のメンバーで定期的に集まり、雑草の除去なども続けている。地域の支えもあり、知らず知らずのうちに桜がこっそりと増えていたことも。「大変だったけど、みんなでゆっくりと整えていけた」

 花咲会の努力が実り、桜並木はすっかり地域の名所となった。さくら祭りの計画が地域で上がり、昨年プレ桜まつりを行ったところ好評だったため、今年は本格的に実行した。嘉数ハイツ、大謝名、嘉数、大謝名団地の4つの自治会で初の祭りが開かれた。

 「さくら祭りのためにやっているわけではなかったんだけど、それでもみんなが笑顔になれていたので」と佐久本さん。目下の目標は、現在通行止めになっている遊歩道が復活し、そこを桜並木にすること。「さすがに年だからきついんだけど、それでも形になったらいいね」と前を見据える。
 (新垣若菜)