海の研究の夢に向かって 脳腫瘍から回復の与勝高生、友の支えに感謝 沖縄の県立高校きょう卒業式


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
脳腫瘍で手術やリハビリを経て復学後、同級生らの支援も受けながら学校生活を過ごし、卒業を迎える長嶺由茉さん(中央)=2月27日、うるま市の同校

 沖縄の県立高校や一部の県立特別支援学校高等部の卒業式が1日、各校で開催される。与勝高校(うるま市)を卒業する長嶺由茉(ゆいま)さん(18)は高2の時に脳腫瘍が見つかり手術やリハビリ、病院内での学習期間を経て高3の5月から約8カ月ぶりに復学し同級生の支えも受けながら学んできた。琉球大海洋自然科学科を受験し、将来は研究者も視野に海の調査に携わる仕事を目指している。 

 小4から中3まで野球部に所属し、投手を務めるなど活発で、体調に異常はなかった。高校入学後、しばしば片頭痛を感じ頭痛薬を服用するようになった。当初は「病院で検査しても異常が見つからなかった」と振り返る。

 体調が急変したのは高2の9月。自宅で就寝中、激しい頭痛で「これは危ないと感じた」。深夜に県立中部病院で受診すると、脳腫瘍が見つかり緊急入院した。県立南部医療センターへ転院後に腫瘍摘出の手術を受けた。寝たきり状態から治療やリハビリを続け、徐々に回復した。

 高3の4月までは入院中に森川特別支援学校の院内学級で学んだ。しかし、高校で学ぶ環境とは違いがあり、学習面で同級生たちに「置いていかれているという焦りがあった」と明かす。

 与勝高校へ復学した高3の5月。「(学習面で)どこまで追い付けるだろうか」「クラスのメンバーとどう会話すればいいか」など不安が募った。そんな長嶺さんを同級生らが支えた。左半身まひで思うように動けず、復学当初は車いす生活となった。教室を移動する際は級友らが手伝った。「自分一人だったら、どの授業も遅刻していた。感謝している」と強調する。今ではつえを使い、一人で歩けるまでに回復した。

 将来に向け、海を調査する仕事に関心を寄せる。「海の中には知られていないことが多く、調べてみたい。自分ができることを探したい」と前を見据えた。

(古堅一樹)