苦しみを乗り越え、世界へ描く放物線 円盤投げ全国V3の友利、きょう那覇西高卒業 九共大へ進学


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全国総体のメダルなどを手にする那覇西の友利晟弓=2月22日、那覇西高校

 3月1日は県立高校の卒業式。女子円盤投げで代替大会を含む全国3連覇を果たした友利晟弓(那覇西3年)は強豪・九州共立大へ進学し、腕を磨く。高校の3年間はコロナ禍やけがに苦しみながらも結果を残した。「周りの支えがあって競技ができていることを実感できた期間だった」と声を弾ませ、国内の頂点と世界の舞台に目を向ける。

コロナ禍

 中学時代にジュニアオリンピック大会優勝や日本ランキング1位になるなど結果を残した。高校での目標は全国総体の3連覇。そこに立ちはだかったのが新型コロナウイルスの感染拡大だった。進学後から休校が続き、思うような練習ができなかった。

 そんな中でも初めての県総体で優勝し、全国への扉が開けたように見えた。しかし、全国総体は史上初の中止。それでも限られた練習で全国を目指した。

 2020年10月には全国総体の代替大会として全国高校大会が開催され、1年生ながら44メートル04で頂点に立った。

 2年生になり、当時の赤嶺永哲監督の一言に気持ちを奮い立たせた。「全国総体をとらないと本当の優勝じゃない」。「連覇」に挑んだ21年の全国総体では自己ベストで優勝した。

左膝を手術

 最終学年へ向け体づくりをする中で、左膝の半月板損傷と診断され手術に踏み切った。3年生の5月には新型コロナに感染した。練習再開は県総体の1週間前。全国3連覇へ不安に襲われることもあった。

 万全の状態ではなかったが県総体で頂点に立ち、南九州地区予選も2位で全国総体出場を決めた。全国総体でも友利は力を発揮し、3度目の頂点に立った。高校入学当初の目標を達成して「正直信じられなかった」と振り返る。

五輪に出たい

 昨年11月、体育の授業で前十字靱帯断裂の大けがをし、すぐに手術に踏み切った。「競技をやめることが一瞬よぎった」と明かす。

 4月からは円盤投げの日本記録(59メートル03)を持つ郡菜々佳が練習拠点とする九州共立大学に進学する。

 本格的な復帰は8月になりそうだが、友利の顔に不安はない。「インナーマッスルがまだまだ鍛えられる」と、リハビリから見えてきたことも多い。

 今後の目標に日本記録の更新を掲げる。現在の自己ベストは47メートル21。「課題は挙げたらきりがなく、まだまだ足りない」と言い、さらなる成長を誓う。その先には海外も見据える。

 「まだ知らない世界の舞台で戦いたい。オリンピックや世界陸上に出場したい」。友利の円盤が世界の空に弧を描く日は、そう遠くないかもしれない。
 (屋嘉部長将)