志田真木さんに芸術選奨・文部科学大臣賞 琉球舞踊で親子2代の快挙


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「真木の会」で創作舞踊「黒髪」を踊る志田真木さん=2022年9月16日、東京のセルリアンタワー能楽堂

 文化庁は1日、芸術の各分野で優れた業績を挙げた人へ贈る「2022年度(第73回)芸術選奨」の受賞者を発表した。舞踊部門の文部科学大臣賞に琉球舞踊重踊流二世宗家の志田真木さん(52)が選ばれた。

 洋舞や邦舞も対象となる同部門で、琉球舞踊の踊り手が文部科学大臣賞に選ばれたのは、1992年受賞の同流初世宗家で「琉球舞踊立方」人間国宝の志田房子さん以来、31年ぶり。親子2代続けての快挙となった。

 真木さんは「先達(せんだつ)や宗家が(本土で)琉球舞踊の魅力を伝えようと苦心する姿を身近で見てきた。受賞は、その方々の日々があって、琉球舞踊が芸術として認められたということ。それが何よりうれしい」と話した。

 贈賞理由では、2022年に東京のセルリアンタワー能楽堂で開催した舞台「琉球舞踊 真木の会」が取り上げられた。同舞台での古典女踊「伊野波節」や、三味線演奏家の本條秀太郎の唄と三味線で演じた創作舞踊「黒髪」が「出色のでき」と高く評価された。

 「真木の会」は2005年から定期的に開催している真木さんの独演会。琉舞の魅力をより広い層に伝えようと、渋谷にあるセルリアンタワー能楽堂で始まった。15年開催の同公演は、文化庁芸術祭舞踊部門大賞を受賞している。

 師匠の房子さんは「琉球舞踊は自分のものではなく、沖縄県民みんなで育んできた文化。受賞の背景には、大きな伝統文化を継いできた、琉球の世のすごさがある。これまでも一歩一歩親子で歩んできたが、受賞によって、より小さく正確な一歩が求められる。大事な文化を預からせていただいている立場として、二人手を携えて大事に踊っていきたい」と話した。

 2022年度芸術選奨文部科学大臣賞には、歌舞伎俳優の尾上菊之助さん、アニメーション監督の新海誠さんら19人が選ばれた。ほか新人賞11人が発表された。
(藤村謙吾)