部活は制限、修学旅行は中止、マスクが当たり前だった3年間だけど…素顔と笑顔の晴れ舞台 沖縄の県立高校で卒業式


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卒業式のフィナーレで制服のブレザーを投げ上げる卒業生たち=1日、北中城村の北中城高校(ジャン松元撮影)

 沖縄の県立高校は1日、卒業式を迎えた。コロナ禍の3年間を過ごした卒業生ら。分散登校で昼食は黙食、行事の中止が相次いだ。部活動など生活全般で感染対策をしなければならなかった。「3年間はマスクとともにあった」と感じる卒業生も多かったが、制限の中でも工夫して楽しむなど、たくましい姿も見られた。

 入学した2020年4月は、新型コロナ第1波のまっただ中。小禄高校の入学式はライブ配信で、クラスの初顔合わせは6月だった。大浦朋香(ともか)さん(18)は答辞で「想像していた学校生活とのあまりの違いに戸惑った」と振り返った。

保護者らから贈られたお菓子のレイを首に下げて笑顔を見せる卒業生たち=1日午後、那覇市鏡原町の小禄高校(小川昌宏撮影)

 行事はほぼ中止となり、修学旅行にも行けなかった。3年時でようやく開催できた最初で最後の文化祭「禄高祭」で、エネルギーを爆発させた。玉村瞳弥(とうや)さん(19)は「クラス以外の友達が作りづらくて正直きつかった時もあった」が行事を通して友達との仲が深まった。「最後に文化祭ができて充実していた」と笑顔を見せた。

 部活動も影響を受けた。野球部では、練習できない時期もあり、退部したメンバーもいたという。山城俊太さん(18)は「(気持ちが)落ち込む中でも、できるメニューを考えて取り組んだ。制限がある中でも楽しく過ごせた」と話した。

 一方、これまでの高校生活を撮りためた写真はマスク姿ばかり。北中城高校の池宮媛菜(ひな)さん(18)は「みんな出会った時からマスク。素顔もあまり分からず、ちょっと寂しい」と肩を落とした。卒業式はマスク不着用でもよかったが、感染対策のため着用した人たちも多かった。自身も式典中ずっと着用した。「外すのはやっぱり恥ずかしい。これからも多分、みんなが外さない限りは付けていくかな」と話した。

 同校の赤嶺柊雅(しゅうが)さん(18)は「晴れ舞台なので、親にいい顔を見せたい」とマスクを外して出席した。卒業証書授与で名前を呼ばれると、大きな声で「はい」と応え会場の笑いを誘った。「コロナ禍でも北高祭でゲームの出し物などで楽しめた」と振り返った。「マスクは当たり前の生活だったが、最後に外せて開放的」と白い歯をのぞかせた。

 (中村優希、金良孝矢)