キクラゲ栽培をブランド化 その「運命的な出会い」とは WEB会社代表の挑戦 沖縄・北中城


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キクラゲ栽培に取り組む旭イノベーションの仲眞秀哉さん=2月10日、北中城村内

 【北中城】沖縄県北中城村内でウェブマーケティング事業を手がける旭イノベーションの代表、仲眞秀哉さん(35)は、村内でキクラゲの栽培に取り組んでいる。1月にブランド化し、「きくらげ小町」として販売を始めた。ゼリーやクッキーといった加工品販売にも取り組む。これまで長く教育関係の仕事に携わったことから、6次産業化などを通して、福祉や教育に貢献したい考えだ。

 キクラゲとの出合いは、当時3歳だった息子の便秘だ。食物繊維の豊富なキクラゲを料理に加え食べさせたところ、腹痛を訴えるほど悩まされていた便秘が改善した。この「運命的な」出合いはウェブマーケティングの会社設立とほぼ同時期で、新規事業としてキクラゲの栽培を始めた。

 長年耕作放棄地だった北中城村内の土地を購入し、約10カ月かけてハウスを整備。現在は1千平方メートルのハウスで栽培する。今後は3千平方メートルまで拡大する予定だ。

 仲眞さんは県外大学で野外教育を学んだ後、カナダ留学を経て現地で教育関係の仕事に就いた。不登校や引きこもりの児童生徒の回復支援などを担当した。「教育の可能性は無限大だ。教育は人を変え、社会や国を変えることができる」と語る。沖縄に戻り教員職に就いたが、「もっと子どもがわくわくして前向きに学べる学校を作りたい」と一念発起し、起業した。

 キクラゲを栽培するハウスの隣には、約3500平方メートルの空き地を確保した。「キャンプや収穫体験など、子どもたちが自然に触れ合える場所を作りたい」と話す。新たな体験型コミュニティーの場を設け、新しい農業の形を打ち出す考えだ。

 福祉面への貢献も視野に入れる。障がい者が農業分野で活躍できるよう「農福連携」に取り組む。「今後はA型事業所を設立し、キクラゲ栽培を通じて障がい者の工賃引き上げにもつなげたい」と意気込む。

 きくらげ小町は、すこやか薬局や村内ホテル「EMウエルネス暮らしの発酵ライフスタイルリゾート」で購入できる。

(石井恵理菜)