琉球新報社 
【本部】広域通信制の八洲学園大学国際高校（沖縄県本部町、中村成希校長）の後期卒業証書授与式が2月26日、もとぶ文化交流センターで開かれ、392人が卒業した。「学び直し」などさまざまな境遇を持った卒業生が、新たな目標に向かって一歩を踏み出した。
64歳で卒業となった小橋川俊雄さんは高校受験がうまくいかず、中学校卒業後はそのまま働いた。20代で起業し、理容室を県内に7カ所展開するなど仕事で大きな成果を収めた。一方、高校卒業は「人生でやり残したこと」と悔やみ、八洲学園に入学した。現在は、大学進学を目指しており「経営や経済の勉強をしたい。人生はまだこれからだ」と笑顔を見せた。
長嶺華子さん（25）はアメリカンスクールに通っていたが、中退した。20歳の頃に亡くなった母親に「高校は出てほしい」と言われて八洲学園に入学した。学習への意欲が湧かないこともあったが、長男の誕生をきっかけに「子どもの成長に携われる仕事に就きたい」と強く感じるようになり、子育てしながら勉強に励んだ。「母もきっと喜んでいると思う」と話した。
卒業生を代表してあいさつした渡邊優月さん（22）は、人付き合いや学校に行くことが苦手だったというが、「八洲で学校の楽しさを知り、自信を取り戻すきっかけになった」と、関わった先生や親への感謝の思いを語った。渡邊さんの言葉に涙ぐむ先生の姿もあった。中村校長は「高校生活で培った力を存分に発揮してほしい。夢と希望に向かって歩んでいくことを期待する」などと祝辞を述べた。
式では、俳優の有村架純さんによる激励メッセージ動画も公開された。有村さんは「これから羽ばたく皆さんの未来を応援したい」と話していた。卒業生でラッパーのYutoTGさんや、お笑い芸人の護得久栄昇さんもステージに登場し、会場を盛り上げた。
（長嶺晃太朗）
