カメジローの「不屈」今なお 開館10年イベント 参加者思い新たに 沖縄・那覇


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対談する佐古忠彦さん(中央)と柳広司さん(右)=4日、那覇市牧志の桜坂劇場

 政治家・瀬長亀次郎の足跡を展示する不屈館は4日、沖縄県那覇市の桜坂劇場で開館10年を記念するイベントを開催した。亀次郎の映画を手掛けた佐古忠彦監督と、小説家の柳広司さんの対談やFEC所属芸人による「お笑いカメジロー&お笑い米軍基地」も上演した。訪れた約200人が10年の節目に「不屈の思いを新たにした」と亀次郎の生き方、思いを改めて胸に刻んだ。

 新刊「南風(まぜ)に乗る」の登場人物として亀次郎を描いた柳さんは米統治の圧政にあらがった民衆や亀次郎の姿について「民主主義を自分たちのものとして使っている」と感じたと話した。一方、国内の政治状況などについては「見るも無残な民主主義」と表現。「本土では沖縄が米占領下にあったことすら知らない人もいる。亀次郎というヒーローを知らしめたい」と思いを話した。

 司会のまーちゃん(小波津正光)さんから「亀次郎が生きていたら」との質問があった。佐古さんはウクライナ情勢や南西諸島の防衛力強化に触れ「戦争するのも平和にするのも人間」との亀次郎の言葉を引用し「人間としてどうするかを訴えてくれる」と占領者への抵抗の先頭に立った政治家の残した言葉の力に思いをはせた。常に民衆と共にあった亀次郎の魅力は「現在も変わらない。民主主義の質が問われ続けている」とも語った。

 来場した女性は「沖縄の現状に諦めもあったが、不屈の思いを新たにできることを足元からやっていこうと思った」と前を向いた。亀次郎の次女で不屈館館長の内村千尋さんは「皆さんが支えてくれたから10年間いろんなことをできた。また頑張る」とこれからも歩みを進めることを誓った。

(金盛文香)