「あった」「ここにもある」。ゲームを楽しむかのように、ごみを拾う子どもたちの声が響く。宮古島市のごみゼロネットワークが主催する「ポイ捨てごみ拾い大作戦!」には、子どもから大人まで多くの島民が参加する。代表の佐々木有希さん(41)は2021年に子ども2人とごみ拾いを始めた。近所の子どもや保護者へと輪が広がり、今では行政も連携する。「小さな事でも誰かの役に立っていると思える。これからも続けたい」と話す。
―ごみ拾いを始めたきっかけは。
「結婚して子育てをしながら自分だけ幸せでいいのかとモヤモヤしていた。暮らしていた団地のごみ捨て場を掃除した時に、すっきりして気分が良かった。喜んでもらえたし、私でも社会の役に立てるんだなと感じた」
「それから毎日、子ども2人と犬の散歩をしながらごみ拾いを始めた。近所の子どもも一緒にやるようになって、SNSで『宮古は日ごとキレイになっている!』というグループを作って投稿を始めたらどんどん仲間が増えて、約300人ぐらいになった」
―どのくらいの活動頻度か。
「去年4月にフルタイムでこども園で働くようになるまでは、毎日、拾っていた。今は月に一度、みんなに呼びかけて活動している。市のごみゼロ会議のメンバーにもなっているので、これにも参加して課題解消に向け話し合っている」
―どんな課題があるのか。
「大きく二つある。一つはビーチクリーンと違って、陸のごみは行政が回収に来てくれない。拾ったらクリーンセンターに持ち込まないといけない。200~300人が参加してくれる大作戦の時は、ごみも相当な量になる。これを運搬する車の手配もしなければいけない。陸ごみも回収してもらえる仕組み作りが必要」
「もう一点は、産業廃棄物の問題。宮古島は不法投棄の量で県内最多が続いている。農業関係の廃棄物、農薬の入っていた袋などは回収しても有害物質が発生する可能性があるのでクリーンセンターで燃やせない。自分で処理費を負担して、産廃処理場に持ち込まないといけない」
「産廃に持ち込まれたごみは島内で埋め立て処理されている。地下水に頼って暮らしている中で、蓄積された有害物が土や海、空を少しずつ汚していく。このままでいいとは言えない」
―今後の目標は何か。
「ポイ捨てごみはすべて大量消費の使い捨て商品だ。島を汚すと結局は自分たちに返ってくる。自然を大事にごみを生まない暮らしをしていこうとたくさん呼びかけて、ごみゼロを目指したい」
(聞き手・佐野真慈)
ささき・ゆうき 1982年1月生まれ。宮古島市城辺出身。2児(7、9歳)の母。2021年からごみ拾い活動を始めた。市と連携し、ごみゼロ達成のためのネットワーク構築や一斉ごみ拾いイベント開催などに取り組む。