【石垣】沖縄県石垣市大浜にある八重山食肉センターは7日、石垣牛の海外輸出を始めた。県内の食肉センターが牛肉の輸出をするのは初めてという。冷凍した石垣牛のA5ランク精肉約100キロが海路で運ばれ、福岡を経由し、3月下旬ごろにタイに届く予定。キロ単価は調整中だが、関係者は国内よりも高価で取引されることを見込んでいる。今後、香港やマカオ、台湾などにも販路拡大を図り、経産牛の輸出も見据える。
同センターで開かれた輸出出荷式には中山義隆市長や市、県、JAおきなわなどの関係者が参加し、テープカットをして祝った。
石垣牛はこれまで海外に輸出される際、ブランド牛の取引の多い県外の卸業者などが輸出を担っていた。だが、海外で和牛需要が高いことなどを受け、八重山食肉センターは2020年、タイやマカオ向けに、国際的な衛生管理基準HACCP(ハサップ)の認証を取得した。
その後、県や国の認可も得て輸出できる体制が整った。今年に入り県外のバイヤーから石垣牛の輸出依頼があり、今回の初出荷に至った。
この日輸出した肉は3日のセリで購入されたもので、うまみ成分が多く含まれた特上のサーロインなどの部位を送った。同センターがと畜や解体、箱詰めをし、冷凍トラックで石垣港まで運んだ。
同センター総務部の幸喜俊明部長は「国内よりも海外の方が利益が見込める。これから輸出量を増やしていきたい」と意欲を示した。今後、同センターが県産牛肉の「輸出拠点」となることに加え、石垣牛の「ブランド力向上」に伴う観光客増加や、牛肉消費拡大なども期待しているという。海外輸出は取引先の依頼を踏まえ随時対応していく予定だ。
(照屋大哲)