事業継承、支援強化へ 沖縄公庫など4者覚書 情報提供、相談、実現まで切れ目なくサポート


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事業承継に関する覚書を締結した(左から)沖縄振興開発金融公庫の川上好久理事長、県商工会議所連合会の上間優副会長、県商工会連合会の米須義明会長、県事業承継・引継ぎ支援センターの嶺井政之統括責任者=9日、同公庫

 後継者不在に悩む事業者への支援を強化しようと、沖縄振興開発金融公庫と県商工会議所連合会、県商工会連合会、県事業承継・引継ぎ支援センターの4者は9日、円滑な事業承継に向けた連携に関する覚書を締結した。事業者への情報提供や個別相談のみならず、事業承継の計画策定やM&Aマッチング、トップ面談といった内容まで支援の幅を広げる。廃業による雇用や技術など経営資源の逸失を防ぎ、地域活性化につなげる。

 県内の後継者不在率は全国平均より高く、1972年の日本復帰の時期に創業した企業には、事業を継ぐのが初めてというケースも目立つ。県事業承継・引継ぎセンターには、2022年度は2月時点で460件余の相談があり、既に21年度(306件)を大きく上回っている。特に親族内承継に関する相談が急増しているという。

 4者はこれまでも事業承継分野で協力してきたが、関係先の紹介などの範囲にとどまっていた。覚書を通じて今後は量、質ともに支援内容を充実させ、世代交代期にある事業者へ気付きを促しつつ、情報提供や相談、事業承継実現まで切れ目なく対応する。

 沖縄公庫は4月から、事業承継やスタートアップの支援強化に向け「事業者支援推進室」を新設。各団体や外部機関との窓口となって体制を整える。

 川上好久理事長は9日の発表会見で「とりわけ支援が届きにくい離島・過疎地域の事業承継にも連携して取り組む」と意義を強調した。

 県商工会連合会の米須義明会長は「支援の幅が広がり、事業承継に不安を抱える経営者のサポートが図れる」と話した。
 (當山幸都)