新発見の組踊台本「島の子どもの教材だったのでは」 沖縄・多良間でシンポ


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多良間の古文書などについて解説する登壇者ら=多良間村

 【多良間】多良間村コミュニティー施設でこのほど、多良間自然文化継承事業成果報告シンポジウム「発見!!古の多良間~古文書から紐解(ひもと)く島の歴史~」が開かれた。これまで未発表だった新たな組踊が見つかったことも報告された。県立芸大の鈴木耕太准教授が「多良間島で新たに発見された組踊について」と題した発表の中で、多良間島に伝わる組踊の台本の中に、題目が不明な未発表台本があったことを報告した。

 鈴木准教授によると、多良間塩川に伝わる組踊「多田名組」の中に、末尾が違う6丁の未発表台本が記載されていた。鈴木准教授は「新発見の組踊は、初めのページがなくなっており、タイトルが分からない。書写年代も書かれていないが、多田名組とは明らかに筆跡が違う」と解説した。組踊の「二十四孝」の「蔡順」と非常に似ているという。桑の実を盗賊に奪われて物語が始まることから「桑の果報」と仮に題目を付けたと報告した。

 鈴木准教授によると「二十四孝」は首里王府の士族が学ぶもので、「(桑の果報が)多良間で作られたとしたら子どもたちの教材かもしれない。首里語の古典調の言葉に書き換えているのではないか」と指摘した。その上で「桑の果報はいろんな魅力を秘めていて、琉球の教育、文学、政治、社会を映す良い事例となっている」と結んだ。

 琉球大学の豊見山和行名誉教授、元糸満市立中央図書館長の金城善さん、県教育庁文化財課史料編集班の山田浩世さん、琉球大学社会人文学部の麻生伸一教授も出席し、それぞれが多良間島の古文書や家譜資料などについて解説した。
 (清村めぐみ通信員)