やんばる 仏料理で発信 食材希少性 ブランドに 東京でフェア


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 【北部】首都圏で大量に出回ることのないやんばる食材をフレンチ界を通して、発信していく取り組みが動き始めている。第1弾として位置付けられるのが12、13の両日、フレンチレストラン「ラジュネス代官山」(東京)で開催されるフェア「深まる秋、沖縄から届いた島の恵み」。北部10市町村の海の幸や山の幸を琉球ガラスの皿に盛り付け提供する。希少性をブランド力につなげようと生産者や関係団体は継続的な活動を目指していく。

琉球ガラスに盛り付けたやんばるの食材を活用したメニューのイメージ
琉球ガラスに盛り付けたやんばるの食材を活用したメニューのイメージ

 フェアは沖縄の特性を生かした高付加価値商品の開発などのマーケティングや県外とのビジネスに対応する人材育成などの活動を支援するNPO法人「沖縄グローカルインキュベーション(OGI)」(那覇市、喜友名光彦理事長)が発案した。
 ラジュネス代官山のエグゼクティブシェフ、小久江次郎氏(67)とフレンチレストラン「ラトリエ」(那覇市)のオーナーシェフ、島袋司氏(38)に協力依頼し実現。フェアでは両シェフが考案したオリジナルメニューが全10品のフルコースで提供される。
 食材は伊平屋村のヤイトハタ、伊江島牛、東村のアグー豚、大宜味村のカラシナの種、本部町のアセロラ、今帰仁村のエリンギ、名護市のシークヮーサー、恩納村の海ブドウ、金武町の田芋など16事業者26種類。食前酒にも泡盛古酒「国華」(名護市)を使う。盛り付け用の皿は森のガラス館(名護市)が60枚の琉球ガラスを提供。鮮やかな彩りも客の目を楽しませる計画だ。
 今回のフェアではラジュネス代官山が県内の事業者と直接取引で食材を仕入れる。継続したやんばる食材の活用も検討している。
 これまでは離島を含めた北部の食材については、安定供給が課題だったが、OGIでは「小ロット」を逆に高付加価値創出につなげることを狙う。OGIは「やんばるには、グルメ層が好む秘めたる食材が埋もれている。市場価格は市場の消費者、換言すれば欲する者と供給側の価格バランス均衡で決まる」と今後のブランド化に期待する。
 OGIでは今後、やんばる12市町村の特産品の県外販路開拓を目指す「地方公共団体連携型広域展示販売・商談会事業」(事務局・名護市商工会)や国、県、各市町村とも連携し、食と観光をつなげるような地域活性化を図っていく。
(外間崇)