学校給食を発信するわけ 喜屋武ゆりか(沖縄大学健康栄養学部講師)<未来へいっぽにほ>


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喜屋武 ゆりか(沖縄大学健康栄養学部講師)

 私は、給食に関する正しい情報を多くの方に伝えるという使命感を持っている。大学生の頃、学校給食を専門的に学び、その奥深さに感動した。校外実習では、高温多湿の調理場で1時間以上、トウガンの皮をむいた。調理員の作業量に驚き、感謝した。小・中学校の9年間、給食を食べ続けてきたにも関わらず、初めて知ることばかりだった。栄養管理、献立作成、衛生管理、大量調理などの高度な内容は、もっと多くの方に知ってもらうべきではないかと、学生なりに感じた。

 学校の管理栄養士になってからも、その想いは強くなるばかりだった。特に子供たちの変容を垣間見た時だ。野菜や豆、魚などは食べ残しが目立つ。子供たちに不足がちな食品を出しているのだが、食べ慣れない食品は好まないという本能的な反応があることも事実だ。しかも飽食の時代。食べ物は「作る」から「買う」社会へ。料理も「作る」から「買う」へ移行しつつある。子供たちは食べ物の生産から切り離された環境下にあり、有り難みを感じることは容易ではない。

 しかしある日、私が子供たちに、給食は自分の成長のために大切であることや、調理員が一生懸命作っている様子などを紹介すると、素直で優しい子供たちは苦手な食べ物も食べてくれるようになった。担任の先生が驚いていた。自分のために丁寧に作られた大切な食事だと知ると、味わいも変わってくるのではないだろうか。

 こういった経験から、給食について多くの人に知ってもらいたいと、これまでコラムを書かせてもらった。本日で連載が終了する。読んでいただいた皆さまに心より感謝申し上げたい。