人材育成、企業前向き 産業集積へ整備進む 県内IT


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 宮城 菜那
県内に進出した情報通信関連企業の推移

 県情報産業協会のアンケートでは新卒採用の対象(複数回答)を学歴別に聞いた。大学卒は全体の9割以上で最多。そのほか工業高等専門学校、大学院、短大、高等専修学校も8割前後と高水準だった。これまで県内での採用数が少なかった高校卒については、4割近くが対象とした。

県内IT企業による新卒採用の実績と見通し

 同協会の渡真利哲事務局次長は「企業の4割弱が高卒者を対象としていることは特筆に値する点だ。ゼロから人材を育てる姿勢が顕著に表れてきた。今後協会として県内高校などと連携し、マッチングを後押ししたい」と展望した。
 2015年1月1日時点で県内に立地する情報通信関連産業の企業数は、県調査で前年比15・0%増の346社と過去最高を記録。中でもソフトウエア開発は24・2%増の113社、コンテンツ制作は44・4%増の52社と増加が目立った。高付加価値の業種も県内で根付きつつあり、求められる人材も多様化が進む。
 集積が進む背景には、県による立地企業への通信費や人件費の補助、税制優遇などがある。ハード面でも09年の供用開始から現在も施設の拡充が進む沖縄IT津梁パークのほか、ことし開所したデータセンターなどが入居する沖縄情報通信センター、16年度からの供用開始を目指す首都圏と沖縄、シンガポールを結ぶ国際海底ケーブルなど着実に整備が進んでいる。
 県は1998年に策定したマルチメディアアイランド構想で、当初コールセンターを中心に集積し、その後ソフトウエア開発など高度な産業を順次誘致すると計画していた。県担当者は「私たちが目指す高度な産業形成の素地ができてきた。ただプログラマーやシステムエンジニアなどの技術者は足りない。資格取得対策の支援など業界のニーズをできる限り事業に反映したい」と力を込めた。(長嶺真輝)