感覚過敏でも楽しく観戦 沖縄アリーナ「刺激少ない部屋」体験会 光や音を抑える工夫 設置へ意欲


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スイートルームを活用したセンサリールームで試合観戦を楽しむ当事者一家=沖縄市の沖縄アリーナ(沖縄アリーナ提供)

 4月2日の「世界自閉症啓発デー」、同2日から8日までの「発達障害者啓発週間」に合わせて県発達障害者支援センターと沖縄アリーナは、感覚過敏のある人でも試合観戦などを楽しめる「センサリールーム」の設置に向けた取り組みを開始した。沖縄市の沖縄アリーナでこのほど開催された琉球ゴールデンキングスの試合に当事者を招き、体験会を開催した。

 沖縄アリーナの片野竜三施設運営責任者は「楽しさを全ての人に提供できるチャンス」との思いで工夫を凝らした。海外や国内の事例を調査し、アリーナ内にある既存のスイートルームを活用した。音や光の刺激を抑えるため、室内のスピーカーを切り、ライトで室内の明るさを調整するなどした。授乳室を活用して落ち着くための休憩スペースも準備した。

 体験したのは広汎(こうはん)性発達障がいがあり聴覚過敏や多動がある小学6年生の双子。初めての場所や人混みに不安を感じやすい。大勢が一体となって応援したりプレーしたりするスポーツの経験はほとんどなかった。体験会当日は怖さや不安もあり「駄目だったら途中で帰ろう」と思っていたという。しかしセンサリールームでの観戦に「静かに見られた。楽しかった」と好プレーに手を上げたり、拍手をしたりして大いに盛り上がった。「短期間で成長した。みんなと一緒になって喜べる雰囲気を楽しんでくれて良かった」と母親は話した。

 今後はイヤーマフなどの貸し出しも検討している。片野さんは「月に一度など定期的な設置や、他のイベントへの設置もできるといい」と今後の展開に意欲を見せた。 
(金盛文香)