値千金の一振りだった。沖縄尚学は三回裏、チームがつないだ満塁の好機に主砲の仲田侑仁が本塁打を放ち、チームの期待に応えた。先制の4得点でリードを広げ、そのまま大垣日大(岐阜)を振り切って1回戦を突破した。
真ん中に来た初球を狙い澄ました。134キロの直球。「初球は真っすぐが多い」と内側に入った甘い球を見逃さなかった。強振した球は暗くなった空を切り裂き、左中間スタンドに吸い込まれた。記念する大会第1号は、自身公式戦初の満塁弾で、県勢としても甲子園初のグランドスラムとなった。
第1打席でもチーム初安打となる右前打を放っていた。状態の良さを感じて迎えた第2打席。2死になっても「チャンスに回ってきてほしい。満塁で打席に入ることを想像していた」と気後れはなかった。
秋の公式戦でも打点を稼いだが、直球は差し込まれ気味だった。課題を見つめ直し冬場はマシンを打席に近づけてスイングの軌道を意識してトレーニングを積んできた。
結果、この4点が決勝点に。「(スタンドに)入って、うれしかった」とぐっと拳を握った。「次も接戦になると思う。チャンスに回ってきたらまた打って流れを持ってこられるようにしたい」と勝利を誓った。
(謝花史哲)
東恩納完投 119球3失点
先発した東恩納蒼が九回を投げ抜き完投勝利を挙げた。119球を投じ7安打を許したが、3三振を奪うなど守り切った。
「秋の大会は自分の真っすぐに自信がもてなくて変化球でかわすことが多かった」と冬場は直球の強さにこだわって練習を重ねた。
初回から強気の攻めで「甘い球はあったが、押せてはいた」と成果を発揮し、ファウルを取って最後は厳しいコースで打ち取った。1点差に追い上げられたが、後半徐々に体も温まり「緊張感はなく、余裕が出てきた」と冷静に打者に向き合い七回からぴしゃり。点を取られても「慌てることなくやった結果」と頼もしかった。次戦は24日。再び先発登板に期待が掛かる。
(謝花史哲)
第95回選抜高校野球大会が18日、甲子園球場で開幕した。開会式に続いて1回戦が行われ、第3試合で沖縄尚学は大垣日大(岐阜)に4―3で競り勝ち、2回戦に進出した。沖尚は三回、仲田侑仁が満塁の好機に大会第1号となる本塁打を放ち先制の4点を挙げた。四回に1失点、六回には失策が絡んで2失点と1点差まで詰め寄られたが、先発の東恩納蒼が踏ん張り、七回以降は零点に抑えて大垣日大の反撃を振り切った。2回戦は第7日の第1試合(午前9時開始予定)でクラーク記念国際(北海道)と対戦する。第1日は、沖尚のほか山梨学院、高知が2回戦に進んだ。山梨学院は東北(宮城)に3―1で勝った。林が5安打に抑えて完投。高知は二回に逆転の2点適時打を放った辻井が、投げても八回途中1失点の好投を見せて北陸(福井)を4―1で下した。今回は5年ごとの記念大会として、例年より4校多い36校で争われる。決勝は31日の予定。