市民への公表、米と交渉 那覇市長「不安払拭へ」 オスプレイ軍港陸揚げ 県は飛行中止求める


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記者の質問に答える知念覚市長=19日、那覇市松尾

 18日に米軍那覇港湾施設(那覇軍港)で米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが陸揚げされているのが確認された件で、知念覚那覇市長は19日、米軍側に(1)市への事前通報(2)事前通報の市民への公表(3)安全確保―を求めていたと本紙取材に明らかにした。これらの要望理由について「市民はオスプレイが突然来ることに不安を感じていると思う。来る日や目的などが事前に知らされれば、不安は払拭されるのではないか」と述べた。

 一方、県は19日、「那覇軍港での航空機運用は県民に不安を与える」とし、陸揚げされたオスプレイを飛行させないことを米軍に働きかけるよう、沖縄防衛局に要請した。陸揚げされたオスプレイは午後5時現在、那覇軍港に駐機している。

 防衛局によると、米軍は「運用保全の観点から対外公表しないことを条件」に、今回の陸揚げを那覇市にのみ事前通報した。知念氏によると、17日午後6時45分ごろに連絡を受けたという。知念氏は「次の焦点は安全確保で、海側を飛ぶかどうかだ。そこまでできれば一歩前進だ」と述べた。防衛局などに従来のような抗議はしない考えを重ねて示した。

 市民への公表も含め三つの要望を米軍が了承した場合、市がどのような姿勢や行動をとるのかについては「話し合いの中で出るさまざまなことをみてからだ」と述べるにとどめた。三つの要望はオスプレイ輸送に関するもので、訓練のための離着陸については「また話し合いたい」とした。

 那覇軍港では2021年11月からたびたび米軍のオスプレイが離着陸している。県は那覇軍港が市街地に隣接している上、沖縄の日本復帰時の日米合意(5・15メモ)で軍港の使用主目的を「港湾施設および貯油所」と明記していることから、航空機の離着陸をしないよう求めている。 (伊佐尚記、中村優希)