美咲特支から20人「一般就労」で内定 開校以来最多になった背景は? 学校・家族ぐるみで支援、企業とのマッチング強化


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就職活動に挑戦し内定を得た20人の卒業生ら=15日、沖縄市の美咲特別支援学校

 沖縄市にある県立美咲特別支援学校の高等部卒業式が15日に開かれ、保護者や教職員の拍手に包まれながら3年生57人が学びやに別れを告げた。このうち、およそ3割半の20人が企業などに就職する「一般就労」で内定を得た。同校によると、内定者数は開校以来最多。学校や家族らのサポートの下、生徒たちは興味のある業種や得意な作業を模索し、就職につなげている。

仕事への意気込みを語る美咲特別支援学校高等部3年の(左から)高江洲千尋さん、伊礼粋吹さん、平安名我碧さん

 県教育委員会によると、特別支援学校高等部卒業生の一般就労の割合(無期雇用、有期雇用含む)は2021年度に約33%で、近年は同水準で推移する。県事業で就労支援コーディネーターを配置し、生徒と企業のマッチングを強化してきた。企業の障がい者雇用に対する理解促進を図り、無期雇用者を増やしたい考えだ。

 同校では高等部1年から就職活動に向けた対策を開始し、年2回の実習を取り入れる。就労支援コーディネーターでトータルサポート商会代表の翁長克さんは、一人一人のできる作業、できない作業を確認しながらマッチングを進めたといい「学校・家族ぐるみでの支援が多くの生徒の一般就労につながった」と語る。生徒たちはデイサービスや学童クラブ、スーパー、医療機関などに就職した。

 卒業生の高江洲千尋さん(18)は、県内にあるクリニックで清掃を担当する。得意だった掃除を就職につなげ「丁寧な仕事を心掛ける」と笑顔で話した。人と接することが好きだという伊礼粋吹さん(18)は介護職へ。「実習でお年寄りと関わる中で、昔話を聞くことが好きだと気付いた」ことが決め手になった。

 クリーニング業でシーツの仕分け作業などを担う平安名我碧(がいあ)さん(18)は、当初就労支援事業所などに進む「福祉就労」を予定していた。実習などで担当できる作業の幅が増え、一般就労の可能性を模索。内定につながり「仕事が楽しみだ」と声が弾む。母の梨沙さんは「周囲のサポートのおかげで一般就労に挑戦できた」と話した。卒業後3年間は同校による定着支援で就労継続をサポートする。粟國静夫校長は「コロナ禍で制限もある中、生徒たちはよく頑張ってくれた」と語り、卒業生全員にエールを送った。
 (吉田早希)