暮らしの課題を「シビックテック」で 市民主体で解決、アプリ作成など実践者育成講座 沖縄・宜野湾


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シビックテック実践者を育成する宜野湾市の講座に参加する市民ら=12日、宜野湾市民会館

 【宜野湾】宜野湾市は12日、ICT(情報通信技術)を活用して地域課題の解決策を学ぶ「シビックテックによる市民協働まちづくり講座」のシンポジウムを市民会館で開催した。課題を見つける手法やプログラミングがいらないノーコードツールの使い方などを学んだ市民約20人が防犯や地域コミュティー、健康、介護の四つのテーマでチームを組み、アプリやゲームの試作品を制作した。シンポジウムで成果を発表し、それぞれのプロジェクトを発展させるために企業や行政に協力を求めた。

 シビックテックとは、市民が主体となりテクノロジーを活用して社会課題を解決していく活動を指す。行政がシビックテックの実践者を育成する講座の開講は県内では初めて。前年度の同講座の受講者らはシビックテック団体「ギノワンテック」を結成している。

 防犯チームは防犯意識の啓発に向け、県警や警察庁が公表するオープンデータを用いて宜野湾署管内の軽犯罪情報や事故マップを示すアプリを作成した。

 地域コミュニティーチームは、市内の自治会加入率が20%台と低迷していることを課題ととらえ、学校行事と地域活動の情報を網羅するアプリを開発した。

 健康チームは全国最悪の市内の特定健診受診率を向上させようと、子どもが親の健康を管理するツールの開発を提案した。企業との協賛も視野に入れるとした。

 介護チームは将来多くの人が関わる介護をより「自分事」として捉えられるように、誰でも気軽にできるゲーム「カイゴクエスト」を制作した。

 講師を務めたシビックテックジャパン代表理事でアイパブリッシング社(石川県)の福島健一郎代表は「人口減社会の到来でこれからの社会サービスの担い手は誰か。政府もこの課題に気付いてシビックテックとの連携を始めている。これまで放置状態だった人材育成に取り組んだ宜野湾市は全国でも先進的だ」と話した。
 (梅田正覚)