香川→沖縄 リモート指導で手術支援と口腔ケア なないろ歯科、地域の医療格差解消へ


社会
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カメラを使って治療の様子を映しながら遠隔で指導を受ける医師(中央)=なないろ歯科・こども矯正歯科クリニック(提供)

 那覇市と香川県に医院を構える医療法人なないろ歯科・こども矯正歯科クリニック(白崎俊理事長)は9日、地域の医療格差解消や人材育成などを目的として、5G(第5世代移動通信システム)ネットワーク、デジタル模型やARコンテンツを提供する「DenPre3DLab」、リモートアシストカメラを使った遠隔手術支援と遠隔口腔(こうくう)ケア指導を、那覇市おもろまちにある同クリニックで実施した。デジタル技術を活用した医療現場の変革などを意味する医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環で、携帯電話大手のソフトバンクなどと連携した取り組み。

 今回は香川県と那覇市のクリニックをリモートでつなぎ、実際に治療を受ける患者のデータを元に作成したAR(拡張現実)と3Dプリント模型を共有して、症例を検討し、治療手順を確認した。その後、香川県にいる歯科医師の遠隔指導の下、那覇市にいる歯科医師が実際の患者に治療を実施した。

 同クリニックによると、臨床現場での若手歯科医師の診断、診療技術指導は主に上級医師との対面で行われ、その多くがクリニックでの指導に限定されているという。遠隔で指導できるようになると、医療の標準化や人材育成につながり、将来的にはかかりつけのクリニックでも高度な治療が受けられたり、大病院へ転院する時間や手間がなくなったりすることなどが期待できる。

 白崎理事長は広く地域の歯科医院で実施できるようになるには、機材の設置や通信インフラの整備などの課題はあるとした上で、「地方でも最先端の治療ができるようになると、地域の医療格差という社会課題の一歩につながり、歯科診療全体の底上げにもなる」と展望を語った。
 (嶋岡すみれ)