テラス、弱点克服し飛躍を期待 JHL2022-23シーズン総括 9人引退で立て直しの課題も


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ザ・テラスホテルズ―オムロン 7得点を決め、奮起したテラスホテルズの上地涼奈=2022年8月13日、名護市の21世紀の森体育館(又吉康秀撮影)

 日本ハンドボールリーグ(JHL)の2022―23レギュラーシーズンがこのほど、全日程を終えた。女子のザ・テラスホテルズの通算成績は全20試合中5勝15敗で総合8位だった。昨季の全18戦中1勝17敗から勝ち星を四つ増やし、順位は最下位の10位から二つ上げた。今季は同リーグ参入の2期目に当たる。試行錯誤しながら蓄積した経験が少しずつ結果となって見え始めてきた。シーズンを駆け抜けたテラスの戦いぶりを振り返る。

 ■不安材料

 今季は上地涼奈、樋口怜於奈、藤岡美希、江藤美佳の4人がポイントゲッターとしてチームを支えた。中でも上地は攻撃の起点となり、パスワークの中心的役割を果たしながら、大事な場面でゴールを決め試合の流れを引き寄せるなど、エースとして獅子奮迅の活躍を見せた。

 それを象徴するのが、10月1日の飛騨高山ブラックブルズ岐阜との対戦だ。今季初白星を挙げた試合で、終了まで残り3秒に上地が強烈なロングシュートを決め、テラスは劇的な逆転勝利を飾った。

 上地は試合数を重ねるにつれて調子を上げ、2月25日のHC名古屋とのホーム戦では、今季自己最多の11得点を奪った。

 ■勝利の形

 東長濱秀作監督はシーズン中、「最後のホーム2戦に勝つため、逆算しながら今季を戦ってきた」と話していた。その計画がうまくいき、19戦目のHC名古屋との対戦で、テラスはリーグ参入以降初となる30得点を挙げた。それまでは、実力的には互角の相手でも競り負けていた。勝利への焦りなどから初歩的なミスをおかし、自ら崩れるパターンが多かった。だが、19戦目と最終20戦目はその弱点を克服し、勝利の理想的な形を作った。

 両試合とも、前半は互いに一歩も譲らない展開が続いたが、後半に入ると、シーズン中盤までとは異なる落ち着いたプレーを見せ、僅差で粘り勝った。ハーフタイム中、選手、監督、スタッフら全員で「焦らず、自分たちの力を出し切ろう」と確認し合い、冷静さを取り戻したことが大きい。力で劣っていない相手に対し、接戦でも勝てるようになったことが今季5勝につながった。

 ■エースの存在

 成長を感じさせる一方、不安も抱える。今季で引退しチームを離れる選手が9人いることだ。攻撃の要でもあった藤岡、塩田真奈美も抜ける。勝利の形が整いつつあっただけに「手痛い出来事」と言える。来季は新加入の選手もおり、一からチームの立て直しが必須となる。

 東長濱監督は「来季は半数の試合を勝つ」と力を込める。新たに加わる選手によって戦い方も変わってくるので、シーズン序盤は手探りの状態が続きそうだが、早い段階でプレースタイルを作れるかどうかが、今季以上の成績を残す鍵となる。来季の新生テラスに注目が集まる。 (砂川博範)