下地島空港、宮古空港の「軍事利用禁止案」を否決 宮古島市議会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
下地島空港と宮古空港の恒常的軍事利用に反対する意見書に賛成の挙手をする与党市議ら=23日午前、宮古島市議会

 【宮古島】宮古島市議会(上地廣敏議長)は23日の3月定例会最終本会議で、下地島空港・宮古空港の恒常的な軍事利用禁止を求める意見書案と住民説明なく宮古島に長射程ミサイルを配備しないよう求める意見書案をそれぞれ反対多数で否決した。

 宮古島市議会の与野党構成は議長を除いて与党7、中立5、野党11。両意見書案は与党7人が連名で提出したが多数を得られなかった。賛否内訳は空港使用に関して賛成7、反対16で、ミサイル配備に関して賛成8、反対15。

 政府は南西諸島の軍備強化を理由に3千メートル級の滑走路を有する下地島空港の自衛隊使用に意欲を示している。1月12日の日米安全保障協議委員会では民間インフラ使用について、米軍と自衛隊の共同使用を拡大する方針を示した。

 意見書案では、下地島空港を軍事使用しないとした「屋良覚書」と「西銘確認書」に触れ、自衛隊および米軍の下地島空港と宮古空港の恒常的使用禁止を求めた。

 反対した新里匠市議は日米地位協定第5条で米軍に民間港や空港への出入り権が認められている点を挙げ「現状でこれを止められる行政上の仕組みはない。台湾有事などを踏まえ、防衛力の担保も考えなければならない」とした。

 賛成した山下誠市議は「地位協定がある以上、米軍が使えるというのは事実だ。だからこそ恒常的に使わないでくれと訴えている」とした。

 ミサイル配備に関する意見書について、粟国恒広市議は「有事に備え、市民の生命財産を守るために配備は必要」として反対を訴えた。賛成した久貝美奈子市議は「有事だけでなく平時も不安になる。国に十分な説明を求めるために必要だ」とした。
 (佐野真慈)