prime

変化し続ける「中央パークアベニュー」の挑戦 ブーゲンビレア保存へ新組織 ニューヨーク化計画も 沖縄市<ニュースのつぼ>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
植栽豊かな中央パークアベニューでフォトウェディングを楽しむカップル=2021年(keystone提供)

 【沖縄】沖縄市の中心街に位置するセンター中央通り(通称・中央パークアベニュー)。市は2024年度に、一方通行から相互通行にする工事に着手する。周辺地域の交通利便性の向上が目的。一方で植物が多くユニークで目を引く通りなだけに、「相互通行でアベニュー独特の景観を失う」と懸念する声も聞こえる。その中で、自主的に景観維持や通りの活性化に取り組もうと、若い世代が新組織を結成する動きもあり、通りは新たな局面を迎えている。

 相互通行化は国の胡屋北交差点改良事業に伴うもので、計画は2016年度に決定した。国道330号からBCコザまでの約450メートルが相互通行になる。道路両脇の停車帯幅約3.8メートルを縮小し、2車線分の幅を確保する。既存のアーケードや歩道は残る。道路拡幅で今ある植栽部分を取り壊すことから、市は新たな植栽計画を作っている。緑量感や維持管理のしやすさなどを踏まえ、計画案ではマニラヤシなどを植栽する考えだ。

 代名詞

 一方、通りの事業者が懸念しているのがブーゲンビリアの保存だ。約5年前に植えられたもので、赤く鮮やかに生い茂る姿は、今では通りの代名詞だ。市は当初計画で、市がブーゲンビリアを植栽・管理する予定だったが、維持管理の難しさやとげで歩行者がけがをする恐れがあるとし、計画から外した。

 ブーゲンビリアは市センター商店街振興組合のメンバーがボランティアで、隔月で毎週剪定(せんてい)している。作業する仲村明監事は「とげもあり管理が大変だ。歩行者がけがをしたときの責任を誰が取るのかという問題もある」と、持続的な管理の難しさを吐露する。相互通行化後は組合として管理しない意向を示しており、「保存したい人で当事者意識を持って管理してほしい」と託す。

 通りに新たな局面

 その中で自主的に通りの景観を守ろうと、通りの有志らで「テナント会」を結成する動きが上がっている。結成メンバーで、写真館「keystone」の中川大祐代表は、ブーゲンビリアの保存を要望する一人だ。コザの街でブライダルフォトなどを手がけている。中川代表は「パークアベニューは一年を通じて緑がある、国内でも希少な場所だ。その価値に気付いて店を始める人たちもいる」と話す。「景観維持にはマンパワーが必要だ。ブーゲンビリアを残すため、自ら主導してやっていきたい」と意気込む。

 ニューヨーク化計画

 景観維持だけでなく、地域活性化も掲げる。テナント会結成の発起人で、ファンファーレ・ジャパンの神山繁取締役は、ネオンや横文字看板、テラスなどでニューヨークのように、街に独特な雰囲気を醸し出す「ニューヨーク化計画」に取り組む考えだ。「相互通行化は残念な気持ちがあるが、アベニューは変化し続ける街だ。相互通行化をチャンスと捉え、今後50年続く景観を残したい」と前を見据える。テナント会は商店街振興組合の承認を得て結成する。

 市道路課は「地域の方々の意見を聞いて、安全性が担保される範囲内であれば調整したい。必要に応じてブーゲンビリアの移植も考える」とする。「中央パークアベニューらしい緑量感のある景観を大事にしながら、持続可能な維持管理をしたい」と話した。
 (石井恵理菜)