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上がらぬ賃金、残業代なし「使い捨てにされている感じ」…非正規公務員の実態【沖縄県と41市町村の非正規職員内訳表】


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
「せめて残業代は出してほしい」と訴える介護認定調査員の女性=2月、本島内

 琉球新報が県内自治体を対象に実施した調査で、役所の会計年度任用職員(非正規職員)の8割近くが女性であることが分かった。またそのうち、94.7%がパートタイムだった。自治体は会計年度任用職員の勤務時間を、フルタイムの1日当たりの勤務時間である7時間45分より15分ほど短い時間に設定して募集していることも多く、退職金の出ないパートタイムでしか働けない状況を生み出している。有期雇用・低賃金で働かざるを得ない女性たちからは「本音は正規で働きたい」「使い捨てにされている感が拭えない」と安定した雇用を求める声が上がる。

 本島中南部の自治体で16年働く会計年度任用職員の30代女性は、現在の部署に所属して6年がたつ。定期的な人事異動により経験が浅い正規職員から仕事内容について聞かれることも度々あり、役所の仕事を支えていると自負もある。

 だが、手取りは長年変わらず13万円程度。残業代は出ない。日給制のため、ゴールデンウイークや年末年始など、長期の休みがあると手取りが減る。

 正規職員になりたい気持ちはある。だが幼い子ども2人の育児や家事との両立を考えると、長時間労働が当たり前の正規職員として働くのは厳しいと感じている。「正規になると退職金も出るし、雇用も安定している。でも子どものことを考えると、今の働き方がいいのかな」と、安定雇用と家事育児をてんびんにかけざるを得ない状況を語る。

 本島南部にある自治体の会計年度任用職員として働く40代女性は、介護認定を必要とする人の家に訪問して聞き取り調査をする、介護認定調査員の仕事に就いて3年目。日中に訪問調査し、昼休みも惜しんで空き時間に調査記録を打ち込むが、作業が終わらず午後10時ごろまでかかることも日常茶飯事だ。だが残業代は出ない。手取りは約16万円。介護に関する職の中では給料が良いため仕事は続けるつもりだが「時間内に終わるよう、正規職員は仕事を配分するか、残業代を出してほしい」と改善を訴えた。

 かつて県内の自治体で非正規職員として働き、その後正規職員を経験した女性は、非正規職員として働いていた時も、仕事にやりがいを感じていた。だがどんなに働いても、生活だけで精いっぱいの低賃金。いくら仕事を頑張っても、給料明細で「あなたの働きの対価はこれだけだ」と突き付けられているようで、悲しくなった。

 女性は「有期雇用なので、どんなに頑張って成果を出しても、期限がきたらクビ。努力は報われないことを実感するし、使い捨てにされている感が拭えない」と指摘する。「日々の生活で精いっぱい、来年の雇用も不安定な状態では、3年後、5年後の未来が私には見えなかった」と話す。

 会計年度任用職員の任期は、1会計年度。再度の任用の上限を「2回(3年任期)」としている自治体も多い。女性は「正規職員の大変さはあるものの、正規職員は権利や選択肢、決定権が増えて自由度が上がり、安心感も違う」と語った。
(嶋岡すみれ)
 

 

成定洋子氏

【識者寄稿】問われる結果の平等 成定洋子氏(沖縄大教授)

 行政改革による公務員の定数削減や平成の市町村合併などの結果、地方自治体の総公務員数は1994年をピークに、2015年までの21年間で54万人減少した。これを補う形で、16年には臨時・非常勤職員などが64万人に達し、指定管理者制度による民間委託なども増加。地方自治体における公共サービス従事者の非正規化が急速に進んでいる。

 今回、県内の会計年度任用職員の8割近くを女性が占め、自治体の非正規雇用がジェンダー化されていることや、パートタイムの割合が94.7%と、20年総務省調査の88・8%を超える極めて高い割合であることが明らかになった。会計年度任用職員は「地方行政の重要な担い手」(総務省)と、されているにもかかわらず、県内自治体は、不安定雇用かつ低賃金という、深刻な労働問題を女性に偏る形で生み出していることになる。

 女性自身が、非正規や非管理職を希望しているので、ジェンダー問題の解決は難しいとする、自己責任論的な言説を見かけることがある。しかし、育児や介護などを女性が担うべきだとする性別役割分業意識や、子どもがいたら、正規雇用や管理職には就くことができないと思わざるを得ないような男性化された働き方や労働観を内面化した社会の中で、女性たちが常に十分な選択肢を持つことは難しいように思われる。

 性別や年齢、職種や個別事情などに関わりなく、一人一人が正当な評価や対価を得て、安心して安全に働くことができるように、ジェンダー化された役割分業意識や、過労死を招きかねない「男性正社員モデル像」こそ、解体していかねばならない。

 なお、今回の調査対象は首長部局と教育委員会に限定されており、全体ではさらに非正規雇用率や女性比率が高くなる可能性がある。ジェンダー平等に向けて、各自治体は、機会の平等とともに、継続的任用や男女の賃金差の是正、手当や休暇制度の均等待遇など、結果の平等をどのように実現していくのかについて厳しく問われている。

(ジェンダー研究)