「ずっと沖縄にいたらできなかったアレンジ」島への感謝、ジャズフルートに乗せ 西仲美咲が新アルバム


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ニューアルバムを発表した西仲美咲=17日、那覇市泉崎の琉球新報社(喜瀬守昭撮影)

 沖縄県うるま市勝連平敷屋生まれのジャズフルート奏者・西仲美咲の3枚目のアルバム「LEQUIO HISTORIA Ⅱ(レキオヒストリアツー)」が21日、発売された。前作の「LEQUIO HISTORIA」から7年ぶりとなった新譜では、前作に引き続き共演歴16年になるジャズピアニストの竹内大輔とデュオで沖縄民謡をジャズアレンジした楽曲などをみずみずしく奏でる。西仲は「沖縄の先祖や歌い継いできた先人たちと島に感謝の気持ちを込めた」と語る。

 新譜は22年8月、宜野湾市のレコーディングスタジオで収録した。2004年から東京を拠点に活動、20年12月に帰郷した西仲にとって故郷沖縄で収録した初めてのアルバム。沖縄での制作は自然や生活風土にも影響を受け「自然と同化するような曲が増えている」という。新譜には「今まで自分にあった感性も残しておきたいと思った」と話す西仲は「遠くから見ていた『沖縄』が残っている。ずっと沖縄にいたらこのアレンジはできなかった」と振り返る。

 収録曲の中でも特に「ヒヤミカチ節」は自身を奮い立たせる曲だという。「沖縄は首里城火災、コロナ禍と、元気がなくなっていくような気持ちがここ数年続いた。みんなを奮い立たせて元気に頑張っていこうと、励ます曲を入れたかった」と力を込める。

「LEQUIO HISTORIA Ⅱ」のジャケット

 新譜では「だんじゅかりゆし」「芭蕉布(ばしょうふ)」「二見情話」「えんどうの花」「安里屋ユンタ」や、沖縄伝統工芸品を制作する工房「金細工またよし」の七代目・又吉健次郎さんが金づちで銀を打つ音のリズムを取り入れた「迎果報」「赤田首里殿内」のほか、オリジナル曲「マブリウタ(護リ唄)」など計11曲を収録する。CDは税込み2千円。アルバム発売記念ライブを4月14日午後7時から東京都の南青山MANDALAと、6月17日午後5時那覇文化芸術劇場なはーと小劇場で予定している。

(田中芳)


 にしなか・みさき うるま市生まれ。開邦高校芸術科音楽コース卒業。2004年から東京を拠点にジャズフルートを井上信平に師事。沖縄ジャズ界の重鎮、故屋良文雄との共演を機に、沖縄民謡をジャズアレンジした楽曲やオリジナル曲を多く発表する。