「ハートFM」3月末で閉局 沖縄・南城市 赤字運営続き 運営者公募も応募なし


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公開生放送に駆け付けたハートFMなんじょうのリスナーら=11日、南城市大里仲間のイオンタウン南城大里

 【南城】沖縄県南城市のコミュニティーFM放送局、ハートFMなんじょうを運営する南笑事(南城市)はこのほど、契約満了に伴い、3月31日に閉局することを決めた。同局の公式ホームページや市の広報紙などで発表した。コロナ禍などでスポンサーが離れたことや、送信所などの維持管理にかかる費用などがかさみ、赤字運営が続いていた。

 同局は、市が民間事業者を公募して、運営する公設民営型のコミュニティーFM放送局で、2018年3月、市大里仲間のイオンタウン南城大里内に開局。現在、番組数は32本を数える。大城保放送局長は「自主運営は限界だった。リスナーの皆さまには大変申し訳ない」と話した。

 閉局を受けて、市はコミュニティーFM放送の継続に向け、放送運営事業者を公募したが、応募者がいなかった。ラジオの聴取率を調査するため、市内全世帯に当たる1万9370世帯にアンケート用紙を配布したものの、回答したのは557世帯で、回収率は2.9%だった。回収した世帯のうち、ラジオを「聴いている」「時々聴いている」という世帯は合わせて23.2%だった。

 市は、ラジオの運営事業者がいないことや、聴取率が低いことなどを理由に放送事業の廃止を決めたが、大城放送局長は「23%は聴取率が低いと判断していいのか」と指摘する。「リスナーは市内外に及んでいる。スマートフォンのアプリなどで聴取している人もいる。その聴取率は入っていない」と不満を呈した。また、「(18年には)市と防災協定を結んでいて、防災面においても身近な情報源であるラジオを簡単に廃止していいのだろうか」と首をかしげた。

 11日、イオンタウン南城大里内にあるハートFMなんじょうのスタジオでは公開生放送が行われ市内外からリスナーが駆け付けた。那覇市から来た30代男性は「番組数も豊富で楽しい番組が多くあった。聞けなくなるのはとても寂しい」と惜しんだ。

 市は4月以降SNSなどを活用して市民向けの情報発信をしていくとしている。

(金城実倫)