ドイツ・ベルリンの美術館で琉舞を披露 舞踊家・歌三線奏者の洌鎌さん これからの夢は


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琉球舞踊を披露する洌鎌利好さん(中央)=1日、ドイツ・ベルリン(フォイエルレコレクション提供)

 琉球古典舞踊家で歌三線奏者の洌鎌利好(りこ)さん(31)=那覇市出身=が1日、ドイツ・ベルリンの私立美術館フォイエルレコレクションで琉球舞踊を披露した。満員の観客を魅了し「ヌチカジリ(命の限り)踊り歌った舞台だった」と胸をなで下ろした。ベルリンの美術館で琉球舞踊が演じられるのは初めてという。

 ハンマー・ダルシマー奏者の近藤彩音さんが琉球古典音楽を奏でる中、洌鎌さんは「かぎやで風」「瓦屋」「浜千鳥」「下出し仲風節」を披露した。

 舞台人生が30年近い洌鎌さんだが「一番怖かった舞台」と振り返り、持ちうる経験や知識など全てを出し切った。「琉球の先人たちやオジー、オバーが見守っている感覚」になるほど、舞台上では沖縄を身近に感じた。演目を終えると観客から拍手喝采を浴びた。

 同美術館で働くメディアアーティスト兼パフォーマーの松崎清乃(すがの)さん(30)=恩納村出身=は、洌鎌さんの演舞に「目頭をぐっと熱くした」と感無量の様子だった。同美術館では年内にあと4公演を予定するという。

 洌鎌さんは玉城流踊(うどぅ)ぃ飛琉(はる)宮城恵子琉舞道場で幼少期から研さんし、結婚を機に2018年に拠点をベルリンに移した。「変化しながらも守られてきた古典様式にのっとり、本物の琉球芸能の姿を世界で公演したい」とこれからの夢を語った。

 日本と中国の各作品も展示している同美術館は「日中の文化を強く受けた琉球文化が、各作品を背景に披露されることが公演の大きな意味と目的でもあった」とコメントした。