空港民営化にビジョンを 3氏が事例報告 那覇空港シンポ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 那覇空港の将来像を考える「大那覇空港シンポジウム」(那覇空港拡張整備促進連盟、県経済団体会議主催)が27日、那覇市内であった。空港民営化をテーマに、特に全国19空港で導入されている「コンセッション方式」について報告や議論が交わされ、那覇空港の展望を探った。

 コンセッションは民間資金活用による社会資本整備(PFI)の一つ。所有権を国や自治体に残したまま、運営権を民間に売却する。滑走路や空港ビル、駐車場などの維持管理を民間が一体経営で担い、着陸料減額による路線誘致や施設拡充などを通じ利便性向上が期待できる。

 シンポジウムで、公共施設の民営化に詳しい社会システムデザインの岡田孝主席研究員がコンセッション導入の効果を説明し、新型コロナウイルス禍で直面した空港利用客の大幅な減少などの課題には、事業期間延長などの支援策が講じられていると報告した。

 那覇空港の民営化を考える上で、滑走路が自衛隊との共同使用になっていることに触れ「安全保障の重要性も求められ、非常時の対応はポイントになる」と指摘。離島航空とのネットワーク維持や24時間運用の貨物ターミナル活用、モノレールに限られる軌道アクセスなどを課題に挙げた。

 北海道内7空港を運営する北海道エアポートの山本貴之常務は、道の人口が減少する中でインバウンド(訪日客)は増加する見通しを示し「将来的に人口が減っても、インバウンド消費額で経済を活性化させる目標を持っている」と話した。

 仙台国際空港の岡崎克彦取締役航空営業部長は全国初となった2016年の民営化を振り返り、主体がばらばらだった路線誘致や各施設の運営を民間企業が一体で担うメリットを強調した。

 パネルディスカッションには沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長が加わり、那覇空港の民営化について「産官学、金融、医療を含めた幅広い関係者による研究会の立ち上げや未来ビジョンの策定が必要ではないか」と述べた。
 (當山幸都)