沖縄特産シークヮーサーの皮から抽出「ノビレチン」に抗コロナ作用 琉球大と北里大が確認、商品開発へ特許出願


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ノビレチンの抗ウイルス作用研究を報告する琉球大学の照屋俊明博士(右)ら=28日、県庁

 琉球大学と北里大学は28日、沖縄特産のシークヮーサー由来成分である「ノビレチン」に、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス作用があることを確認したと沖縄県庁で公表した。ノビレチンのコロナへの作用確認は世界で初めてという。産地の本部町や大宜味村の両首長も会見に同席し、シークヮーサーを「グリーンダイヤ」などと表し、市場拡大による産地の活性化を期待した。

 発表によるとコロナ感染した培養細胞の培地で、果皮から得たノビレチンを入れたものと入っていないものを比較したところ、ノビレチン含有でウイルスRNA量が減少した。北里大大村智記念研究所の花木秀明医学博士は「安全性にも問題はない」と述べた。

 研究は県の成長分野リーディングプロジェクト創出事業の一環で、委託された両大学が昨年3月ごろ作用を確認した。両大学は商品開発を視野に昨年末、特許を出願。製薬会社を通してトローチなどの商品開発を進めているほか、医薬品への応用に向けて研究を進めていくという。

 県内のシークヮーサー年間生産量は3000~4000トンで、ジュース用に搾汁後は残渣(ざんさ)として1500~2000トンが廃棄される。ノビレチンは果皮から抽出されるため、残渣から1500~2千キロの抽出が見込まれ、新たな収益が期待されるという。琉球大教育学部教授の照屋俊明博士(理学)は「農家支援と北部地域振興の活性化につながればいい」と話した。

 本部の平良武康町長は「世界ブランドとして戦っていける」と強調し、大宜味の友寄景善村長は「農家にとって弾みがつく」と喜んだ。
 (金良孝矢)