「後ろには蒼がいる。いけるところまで」沖尚の儀部、初登板の先発で大役果たす センバツ高校野球


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4回を投げ、5安打1失点に抑えた沖尚先発の儀部皓太朗=28日、兵庫県の阪神甲子園球場(ジャン松元撮影)

 選抜高校野球大会第9日は28日、甲子園球場で3回戦が行われ、沖縄尚学は0―1で東海大菅生(東京)に惜敗した。東海大菅生のほか、2連覇を狙う大阪桐蔭、昨夏の甲子園大会を制した仙台育英(宮城)、報徳学園(兵庫)が勝って準々決勝へ進んだ。沖尚は儀部皓太朗と東恩納蒼の継投で1失点に抑えたが、東海大菅生の先発を打ち崩せず競り負けた。東海大菅生は大舛凌央(石垣中出)が2番二塁で出場した。大阪桐蔭は能代松陽(秋田)の森岡に2安打に抑えられたが、七回にスクイズで先制し継投で逃げ切った。仙台育英は龍谷大平安(京都)に6―1で快勝。報徳学園はタイブレーク制の延長十回に西村が決勝打を放ち、東邦(愛知)に5―4でサヨナラ勝ちした。東邦は宮國凌空(宜野湾中出)が先発した。29日の準々決勝で大阪桐蔭と東海大菅生、報徳学園と仙台育英が対戦する。

 大会初登板で先発を任された儀部皓太朗が4回を投げ1失点に抑える好投で試合をつくった。五回からマウンドを譲り受けた主戦の東恩納蒼も力のある投球で零封。チームは1点差で敗れはしたものの、課題だった2番手投手で儀部が大役を果たし、夏に向けて大きな収穫となった。

 「後ろには蒼がいる。いけるところまで」と初回から全開で腕を振った。先頭を内角でゴロに仕留めるなど初回を三者凡退で打ち取った。「楽になった」と低めの制球が安定。走者を出してもフォークとスライダーが要所で決まり切り抜け続けた。

 悔やむは四回の高めに浮いた直球。「力が入ってしまった」と、唯一の失投が犠飛につながった。ただその後の打者は三振で食い止め、五回から中継ぎで入った東恩納も「イニングが短い分、一人一人に対し全力投球ができた」と被安打1にとどめ追加点は許さなかった。

 継投がかみ合った3回戦。儀部は「少しはアピールできた。蒼任せのチームにならず、自分が投げても勝てるよう成長したい」と、この日の投球を自信に変えて飛躍を誓った。
 (謝花史哲)