辺野古新基地建設に伴う大浦湾側の埋め立て海域のサンゴ移植を巡り、農林水産相が移植を許可するよう是正の指示を出した。県は是正の指示の原本到着から1週間以内に意思表示が求められている。県は、1カ月以内に総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る見通しで、国の関与が違法かが再び問われることになる。
サンゴの移植に関する特別採捕許可申請を巡り是正の指示が出されるのは2020年に続き2度目。
当時、係争委は是正の指示は違法ではないとして県の申し出を退けた。裁判闘争となったが、最終的に県が敗訴した経緯がある。国はその流れの踏襲を目指すとみられる。
一方、今回は異なる要素もある。前回、移植の是非が争われたサンゴは、既に行われていた埋め立て承認によって工事が可能な場所にあった。
今回、特別採捕許可申請が出された小型サンゴ類約8万4千群体など移植対象のサンゴは、いずれも軟弱地盤と「もろかぶり」(県関係者)で、工事着手には沖縄防衛局が提出した設計変更申請について県から承認を得る必要がある。
だが、設計変更申請は県が不承認とし、現在、国と県の間で3件の訴訟が継続中だ。
大浦湾側の工事着手が見通せない中「是正の指示で移植を急ぐ必要があるのか」(県関係者)と、今回の是正の指示への疑念もくすぶる。
(知念征尚)