代表自身も難病当事者「重度障がい者も地域で暮らせる」名護に訪問介護事業所を開所


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「地域で暮らせることをアピールしたい」と話す金城太亮代表=3月16日、名護市のたいたい

 重度障がい者が施設ではなく、地域で暮らせるよう当事者目線でサポートする訪問介護事業所が名護市内に開所する。医療ケアも含め、食事や外出の介助をするヘルパーを24時間派遣する。代表を務める金城太亮(たいすけ)さん(42)は脊髄性筋萎縮症という難病がある。自身も介護サービスを利用しており「これはできない、ではなくどうやったらできるかを伝えられる」と利用者に寄り添う。

 1日に開所するのは居宅・重度訪問介護たいたい。金城代表は幼少期から20代前半まで入院生活を送っていた。その後、ヘルパー派遣事業を活用して一人暮らしを始めた。

 自身も利用していた県自立生活センター・イルカ(宜野湾市)で役員も務め、約10年前に石垣島での居宅・重度訪問介護事業所開所に着手した。当時は重度障がい者向けの事業所が石垣島になく「どこに行っても珍しい目で見られた」と振り返る。地域で理解を広げることから始めた。

 開所時はスタッフ6人だったが10年で24人、利用者も10人へと増えた。他の事業所との連携も始めつつ、重度障がい者の支援を拡大させてきた。いつの間にか「どこに行っても『太亮さん』と声をかけてもらえるようになった」と活動が知られるようになり、サービスへの理解も広がった。

 「(需要や要望など)声を聞いて広げていきたい」と開所後の展開にも意欲を見せる。「難病や重度障がいでも地域で暮らす環境をつくりたい。暮らせることをアピールしたい」と生き生きと話した。
 (金盛文香)