「人手不足」沖縄の中小企業の7割超 技術・管理者も 受注が減り残業が増


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 琉球新報社と沖縄県中小企業家同友会が共同で実施した人手不足に関する調査で、回答した県内中小企業の7割超が人手不足感を感じており、基本的労働力だけでなく、育成に時間のかかる技術者やマネジメント層の不足も深刻化していることが分かった。人手不足で売上減や新規事業の一時見合わせなど影響が出ている企業もあり、コロナ禍から業績が回復しないまま、原材料価格の高騰、人手不足に悩まされている。

 企業からは「求人を出しても応募がない」「(人手が足りず)受注できない」などの声が上がった。

 識者は「少子高齢化やコロナ禍を経た求職者の意識の変化がある。人材確保のために自社の状況をどう改善するかを、重要な経営課題と捉える必要がある」と指摘している。

 調査は、県内中小企業の人手不足の現状を把握し、解決策を探ることを目的に2月~3月中旬に実施。中小企業家同友会の役員企業190社にアンケートを送り96社から回答を得た。データ分析は沖縄大の島袋隆志教授、県中小企業家同友会、琉球新報社で行った。

 人手不足を感じている企業を業種別にみると、建設業、医療・福祉業が8割超と高く、卸・小売業、その他が7割などとなっている。建設業ではマネジメント層も不足している。医療・福祉業ではアルバイト・パートから基本的労働力、技術者、マネジメント層と全体的な不足感が表れている。

 人手不足の原因として生産年齢人口の減少を挙げる企業が最も多く、特別な資格や技術が必要、高水準の賃金や福利厚生ができていない―などが続いた。

 人手不足で売上高の減少、営業時間の短縮など事業への影響が出ている。残業の増加など労働環境の悪化もみられる。

 人材不足への対応策(複数回答)は賃金アップを選んだ企業が57・3%と最も多く、デジタル化・DX化による業務効率化が50・1%、女性・障がい者、外国人などの積極採用が34・4%と続いた。

 (玉城江梨子)