【浦添】小型焼却炉を製造・開発するトマス技術研究所(うるま市)の福富健仁社長が3月15日、浦添工業高校のインテリア科2年生を対象に講話した。ゴミを焼却する際に煙が出ない小型焼却炉「チリメーサー」を武器に世界と渡り合う福富社長は、社会で活躍するためには困難にぶつかっても何度も立ち上がる「諦めない心」と「夢」を持つことが大切だと語った。
福富社長は新規学卒者を含む、若年層の離職率の高さに懸念を示し「このままでは日本は沈没する」と警鐘を鳴らした。自社で雇用する外国人労働者について「強いハングリー精神と向上心を持って死にものぐるいで働いている」と説明。優秀な外国人労働者の流入で、日本人経営者の多くが日本人の採用を避ける傾向があるとして、実社会では「気合と根性が必要だ」との経営哲学を語った。
奄美大島出身の福富社長は2003年、トマス技術研究所を創業したが、当時は苦労の連続だった。苦心して造った焼却炉の試運転では、出資者の前で黒煙が上がり失敗に終わった。製品は売れず、全財産が10円だったこともあった。一時は「逃げたい」との思いに駆られたが、諦めない心と試行錯誤を繰り返す中、炉内で水蒸気を発生させることで煙を完全燃焼させる焼却炉を完成させた。
トマス技術の製品や技術は県や国から表彰を受けた。19年には、同社の技術が途上国支援事業の「優れた案件(グッドプラクティス)」として、G20大阪サミットで紹介された。
福富社長は「『気合と根性』と言うと昭和世代と思われるかもしれないが、気合と根性がなければ何をやらせても成功しない。若い時は苦労は買ってでもしないといけない」と語った。
講話を聞いた冨澤怜実さん(17)は「今は両親や先生たちに支えられているが、一人で乗り越えられる強い人になりたいと思った」と語った。
(吉田健一)