アオコ抑え臭いも消えた ウンチェーで南城市前川の池浄化


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【南城】農業用貯水池のアオコ(青粉)発生を抑制するため、実証実験として水耕栽培していたウンチェー(ヨウサイ、エンサイ)の収穫祭が3日、南城市玉城字前川の貯水池で行われた。区民や児童らは採れたてのウンチェーを味わい、水質浄化の効果を実感した。

 富栄養化した貯水池で発生するアオコは、かんがい施設の目詰まりや異臭、健康被害を引き起こす。ウンチェーは、アオコの養分となる窒素やリンを吸収し、富栄養化を解消するなど水質浄化に効果があり、岐阜県のダムでの先進事例がある。
 水中の長い根の周りに小魚などが生息して形成される生態系や、食用葉を活用した住民参加型の環境活動も期待できる。
 実証実験事業は、沖縄環境分析センターと市玉城地域農地・水・環境保全管理協定運営委員会(会長・當山全章前川区長)が実施。9月13日に区民らがウンチェーの苗432株を植え付けた。約3カ月間で、15センチほどだった苗がかごいっぱいに青々と葉を茂らせた。
 収穫祭では、前川区子ども会や市立船越小学校の少年野球チームがはさみを使ってウンチェーを刈り取り、区婦人会がジューシーにして区民へ振る舞った。障がい者福祉施設の玉川園にもウンチェーが贈られた。
 「うまい!」と熱々のジューシーを頬張った子どもたち。中村太陽君(9)=同小3年=は「植えた時より大きくなっていてびっくりした」と話した。
 當山会長は「植え付けの時に感じた臭いも消えている。周辺の他の貯水池でも、ぜひ取り入れてほしい」と、実証実験の効果を実感していた。

貯水池で育ったウンチェーをざるいっぱいに刈り取った子どもたち=3日、南城市玉城前川