「今年で60歳。これまでの人生60年の集大成のような気持ち」。そう語るのは全島エイサーまつり最終日のオープニングエイサーに参加した、那覇市首里に住む金城孝郎さん(59)だ。
金城さんは2年前まで那覇市立病院で理学療法士を務めていた。今回のオープニングエイサーでは亡くなった父や友人、病院勤務時に見送ってきた患者らへの思いを込め、エイサーを踊り切った。
第69回全島エイサーまつりでは沖縄市制施行50周年を記念し、一般から応募で集まった参加者が最終日の最初の出演を務めるオープニングエイサーを実施した。老若男女問わず幅広い参加者が練習を積み、エイサー本場の大舞台で演舞を披露した。
金城さんは現在、心身の健康・幸福を目指すウェルビーイングケアの推進や生きづらさを抱える人々の支援のため、ポジティブ心理学トレーナーなどとして活動している。
今回のオープニングエイサーでは、亡くなった方への供養の気持ちや、次世代の子どもたちや現在関わっている人々への「恩送り」の気持ちなどを込めて参加を決めたという。
昔からエイサー好きで全島エイサーも見に行った。本番と同じ会場で行われた全体練習の際には「エイサーの聖地の舞台に立って、子どもたちに囲まれ踊られる。こんなうれしいことはない」と笑みをこぼしていた。
本番当日は緊張した面持ちで入場するも「唐船ドーイ」などの演目を約10分間堂々と、踊り切った。演舞を終えた金城さんは「踊っている時は必死だったが、始めと終わりの会釈でさまざまな気持ちを込められた。出来は7、8割だけどニライカナイのみんなは褒めてくれると思う」と満足した表情を見せた。
(福田修平)