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亡き父やかつての患者さんへ思い込め “聖地”で堂々と舞った10分間 「人生60年の集大成」 沖縄全島エイサー


亡き父やかつての患者さんへ思い込め “聖地”で堂々と舞った10分間 「人生60年の集大成」 沖縄全島エイサー 演舞を披露し終え、笑顔でバチを掲げる金城孝郎さん=25日、沖縄市のコザ運動公園陸上競技場
この記事を書いた人 Avatar photo 福田 修平

 「今年で60歳。これまでの人生60年の集大成のような気持ち」。そう語るのは全島エイサーまつり最終日のオープニングエイサーに参加した、那覇市首里に住む金城孝郎さん(59)だ。

 金城さんは2年前まで那覇市立病院で理学療法士を務めていた。今回のオープニングエイサーでは亡くなった父や友人、病院勤務時に見送ってきた患者らへの思いを込め、エイサーを踊り切った。

 第69回全島エイサーまつりでは沖縄市制施行50周年を記念し、一般から応募で集まった参加者が最終日の最初の出演を務めるオープニングエイサーを実施した。老若男女問わず幅広い参加者が練習を積み、エイサー本場の大舞台で演舞を披露した。

 金城さんは現在、心身の健康・幸福を目指すウェルビーイングケアの推進や生きづらさを抱える人々の支援のため、ポジティブ心理学トレーナーなどとして活動している。

 今回のオープニングエイサーでは、亡くなった方への供養の気持ちや、次世代の子どもたちや現在関わっている人々への「恩送り」の気持ちなどを込めて参加を決めたという。

 昔からエイサー好きで全島エイサーも見に行った。本番と同じ会場で行われた全体練習の際には「エイサーの聖地の舞台に立って、子どもたちに囲まれ踊られる。こんなうれしいことはない」と笑みをこぼしていた。

 本番当日は緊張した面持ちで入場するも「唐船ドーイ」などの演目を約10分間堂々と、踊り切った。演舞を終えた金城さんは「踊っている時は必死だったが、始めと終わりの会釈でさまざまな気持ちを込められた。出来は7、8割だけどニライカナイのみんなは褒めてくれると思う」と満足した表情を見せた。 

(福田修平)