日本の古典を沖縄のしまくとぅばに訳してみた 那覇商業高で外部講師が授業


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講師の国吉朝政さんの講話に耳を傾ける生徒=那覇市松山の那覇商業高校(提供)

 【那覇】那覇商業高校は、22年度の1年生の国語科の言語文化の授業で、しまくとぅばを取り入れた学習を進めている。古典の言葉と現代の言葉とのつながりについて理解を深めることなどを狙いとする。このほど3人の外部講師を招いた授業があった。

 授業では、古文の教材である宇治拾遺物語より「児(ちご)のそら寝(ね)」を、県内の5地域(国頭、本島中南部、宮古、八重山、与那国)のしまくとぅばに訳し、オリジナルのワークシートを活用して行っている。授業には、NPO法人県沖縄語普及協議会の国吉朝政会長(那覇市首里出身)、しまくとぅば連絡協議会の安良城(あらぐしく)米子副会長(大宜味村塩屋出身)、みゃーくふつの会の下地トミ子事務局長(宮古島市平良字下里出身)の3人を同校に招いた。3人は、それぞれの地域の言葉で教材を朗読し、読み聞かせをした。

 授業を受けた與那城有菜さんは「(講師の)国吉さんが『しまくとぅばを後世に伝えてほしい』とおっしゃった言葉が心に響いた。残さないといけないと思った。しまくとぅばを話せる祖母に教えてもらおうと思う」と感想を述べた。

 講師の国吉会長は「沖縄には地域に伝わる言葉が400~800ぐらいあると言われている。この言葉をいかに残すかは非常に難しい。消滅の危機にある」と指摘し「子どもたちにはまず、沖縄にこのような言葉があることを知ってもらい、興味を持ってほしい」と期待を寄せた。

 授業を担当する国語科の安次冨民子教諭は「私たちウチナーンチュにとって今、しまくとぅばについて学ぶことは重要な意味を持つ。高校生が興味、関心を持てる授業展開を今後も模索し、一緒に学んでいきたい」と話した。
 (中川廣江通信員)